泌尿器症候群(FUS)

ストルバイト結晶

ストルバイト結晶 (猫の尿石症)

シュウ酸Ca結晶

シュウ酸カルシウム結晶 (猫の尿石症)

真赤な血尿

猫の血尿 (猫の尿石症)

手術で摘出した膀胱結石

猫の膀胱結石 (猫の尿石症)
 猫ちゃんと暮らしていく上で、普段から特に注意していただきたいのが毎日のオシッコの観察です。
 猫の泌尿器症候群(FUS)とは、尿路の部分的~完全な閉塞による排尿障害と血尿などを特徴とする病気のことで、完全閉塞が起こると、数日で尿毒症を起こし死に至ることもある恐ろしい病気です。

原因

 FUSの発症は、ほとんどの場合、砂粒状物質(結晶や細胞屑などの成分)や結石(ストルバイト・シュウ酸カルシウムなど)によるものであり、これに細菌感染が加わります。
 FUSを誘発する要因としては、排尿の回避(トイレの汚れなどで)・肥満・運動不足・飲水量の減少→排尿の減少(冬期など)・食物中のMgやCa過剰などが分かっています。

症状

●排尿回数または排尿動作が多くなった。
●排尿動作をしてもなかなか尿が出ない。
●あちこちで排尿する。
●排尿時に痛みを訴える。
●尿がポタポタと落ちる。
●オシッコに血が混じる。
●全く尿が出ない。
●元気・食欲低下、嘔吐などがみられる。

治療

 尿路閉塞を起こしているのなら、一刻も早く強制的に排尿させてあげなくてはなりません。それには、尿カテーテルと呼ばれる管を尿道から挿入したり、場合によっては直接お腹に注射針を刺して尿を排泄します。レントゲン検査で膀胱や尿道に結石が詰まっているのを確認した場合は、手術をして石を取り出さなければならない場合もあります。尿毒症になってしまっている場合は、緊急に点滴を流さなくてはなりません。
 血尿や頻尿などの初期の膀胱炎の症状だけであれば、抗生剤や止血剤等の治療で済むこともありますが、尿石が認められる場合は並行して尿酸性化剤の投薬や療法食による食餌管理も必要となります。療法食には、尿石を溶かすものや尿石の再発を防ぐための専用のフードがありますので獣医師とよく相談して適切なものを与えるようにしましょう。

予防

 予防には適度に運動させて、常時新鮮な飲み水を用意し、食事を制限して肥満を防ぐことが必要です。また、トイレはいつも清潔にして排尿を我慢させないようにしましょう。
 この病気の厄介な問題に、再発率が非常に高いことが上げられます。一度FUSにかかった猫ちゃんは、すっかり治ったと安心したころにまた再発を繰り返すことがよくあります。特に尿石症の場合、療法食を与えなくなると50%近くがFUSを再発します。
 冒頭にもありましたが、一番大切なのは飼主さんの日頃の観察(注意力)です。猫ちゃんは言葉を話せません。病院に連れて行ったころには手遅れだったなんてことにならないよう、普段から愛情を持って見守ってあげてください。

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猫の口内炎

口腔粘膜の充血

猫の口内炎 (船橋市 あおぞら動物病院)

痛々しい口内炎

猫の口内炎 (船橋市 あおぞら動物病院)

きつい口臭と流涎

猫の口内炎・歯肉炎 (船橋市 あおぞら動物病院)

猫用インターフェロン

インターキャット (船橋市 あおぞら動物病院)
 日常の健康診断で口の中を覗いてみると、歯肉が真っ赤に充血していたり、軽く触れただけで出血してしまうような、いかにも痛々しいお口を持った猫ちゃんに頻繁に遭遇します。
詳しくお話を伺うと、「ヨダレが出てお口が臭いんです」とか「最近硬いものを嫌がるようになりました」、「もう年寄りですから(笑)」等々、あまり病気という意識が無いようです。

 口内炎とは口腔粘膜の炎症ですが、口臭や粘稠性の高いヨダレ、粘膜の充血・出血・ただれ、舌の潰瘍等で満足に食事が摂れなくなり、どんどん痩せ細ってしまいます。
 口内炎を引き起こす原因としては以下のようなものがあります。
歯周病・歯石
②異物(骨や針等)
③毒物
④ウイルス感染(猫の風邪)
⑤細菌感染
⑥腎不全による尿毒症
⑦糖尿病
⑧猫エイズや白血病による免疫力低下
 このように、ひと言で口内炎といっても潜在する様々な疾患によって二次的に発症することが多いので、たかが口内炎と軽視せず、全身的な検査をされることを強くお勧めします。

 治療としては、まず基礎となる疾患を診断することから始まります。その疾患の治療と並行して、抗生物質や消炎剤で口腔内の環境を改善します。

 治療に対する反応が悪く、一度治っても再発を繰り返す難治性の口内炎では、全ての臼歯を抜歯する全臼歯抜歯療法というものが注目されています。様々な治療で改善が見られない場合の根治治療として当院でも非常に高い有効性が確認されています。
 抜歯なんてかわいそうと思われるかもしれませんが、術後の経過も良く、食事も今までと変わらないものを食べられるので結果的に非常に快適な生活を送れるようになると思います。

 あなたの愛猫に少しでも思い当たる点がありましたら、一度お口の健康診断に連れて行ってあげてくださいね。
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痊瘡(猫のアクネ)

顎の下の黒ずみ

猫のアクネ (船橋市 あおぞら動物病院)
 あなたが猫を飼っていらっしゃるなら、アゴの下をよく観察してみてください。ノミの糞のような黒い汚れがついていることがあります。これは痊瘡(ざそう)という皮膚病の一種です。猫では比較的よく見られます。 病気というほどのものではない場合も多いのですが、ひどくなると腫れ上がって出血したり、痛みを伴うこともあります。ちなみにノミの糞の見分け方はリンク先を参照してください。

 顎の下の毛穴に、皮膚からの分泌物やよごれが詰まると、このように黒い点々のように見えるのですが、そこに細菌が感染すると痒みや痛みが起こることがあります。みなさんご存知のように、猫はきれい好きなので暇があれば自分で舐めて毛づくろいをしますよね。でも、直接舐められない顔の周辺は唾液をつけた前足でこすり、間接的に掃除することになります。これが苦手な猫は痊瘡ができやすいかもしれません。

 黒いブツブツが少し付着し、固まりが毛穴を塞いでいるだけの場合は、薄めたオキシドールをコットンにつけて汚れをそっとふき取ってあげましょう。動物用の薬用(殺菌)シャンプーで洗浄してあげるとさらに効果があります。この時、強くこすりすぎると刺激になって逆効果になる場合もありますので注意して。

 細菌の感染が起こっている場合は、動物病院に相談してください。病院では、アクネのできている部分の被毛を刈り、殺菌用シャンプーでよく洗浄します。また、抗生物質の処方もします。
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療法食への切り替え

ドライ&缶詰タイプ

腎臓用療法食 (船橋市 あおぞら動物病院)

様々なサイズ

ロイヤルカナンの尿石症予防用療法食 (船橋市 あおぞら動物病院)

様々なサプリメント

アガリスク、キチン・キトサンなど (船橋市 あおぞら動物病院)
 病気についてのコラムとは少し違いますが、病気の猫ちゃんに療法食を薦めることが良くあります。
 療法食(処方食)とは、病気の予防・治療のために用いるフードです。 動物病院では様々な種類の療法食を扱っていますが、残念なことに、これらのフードは一般のペットショップやホームセンターでは置いてありません。獣医師の指示が必要になります。
 病気の治療の為にこの食餌療法が必要不可欠な場合が多くみられます。例えば、尿石症(オシッコに石の結晶が出て膀胱炎などを起こす)の猫では、専用の療法食以外を食べると尿石症が再発してしまうことが多くあります。極端な例ですと、せっかく石が無くなっていたのに1週間他のエサを与えただけで、オシッコが石だらけになってしまったこともありました。
 様々な病気に使われるこれらのゴハンですが、困ったことに猫ちゃんの場合、頑固なまでに違ったエサを食べようとしない子が結構いるのです。
 また、子供の時からドライフードだけで育った子がおいしそうな缶詰を与えても、見向きもしないというようなことが良くあります。また、このような場合だと、薬を処方しても、ごはんに混ぜて与えることができないので、苦労されている飼い主さんも多いようです。
 たいていの処方食はドライタイプと缶詰タイプの療法があるので使い分けることができますが、どうやらこれらの処方食は、塩分が控えめだったり、食感が悪かったりであまり美味しくないようで、嫌がる猫ちゃんが多いです。
 基本としては、今まで与えていた食餌に療法食(新しい食餌)を少しずつ混ぜていき、時間をかけて少しずつ慣らしていく方法です。この方法でうまくいかない場合は、その他に
①ごはんを暖める
②少量の好物をふりかける(病気によっては使えない)
③手から直接与える
④ドライフードをお湯でふやかす
⑤食事の前に運動させる
⑥他のメーカーのごはんを試してみる
 食餌の切り替えは飼い主さんと猫ちゃんの根気比べですが、猫の場合、犬とは違って3日以上全く食餌をとらないと肝臓に負担がってしまいます。
 また、急に違う食餌に切り替えるとお腹をこわしてしまったり、警戒して全く食べなくなったりしてしまうこともあるので、1週間くらいかけて、最初は数粒でも普段の食餌から少しずつ変えていくようにしましょう。

 どうしても切り替えがうまくいかない場合は、あきらめずに獣医師に相談してください。

ドライフードの開封後の保管方法
療法食(処方食)のネット販売ってどうなの?


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猫リンパ腫・白血病

異常なリンパ球

猫の白血病・リンパ腫 (船橋市 あおぞら動物病院)

猫の胸水

胸に液体が貯留し
呼吸困難な症例
猫の胸水(猫のリンパ腫)

白血病ワクチン

(写真はイメージです)
猫白血病ワクチン (船橋市 あおぞら動物病院)

様々な化学療法剤

猫リンパ腫の抗がん剤 (船橋市 あおぞら動物病院)
 猫ちゃんの飼い主様なら、『猫リンパ腫・白血病』という言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
 リンパ腫とは、リンパ系の組織から発生する血液のガンの総称です。室内飼いが多い地域では以前のように猫白血病ウイルス(Felv)によるリンパ腫・白血病は減少しました。ウイルス自体の感染率も減少しています。
 そのかわりに中~高齢にウイルスが関与していない消化器型リンパ腫が増加しています。私の愛猫も9才の時にこの病気で命を落としました。
 500頭に1頭の割合で発生するというこの病気はどのような病気なのでしょう。

原因

 猫リンパ腫・白血病とは、リンパ系の細胞が腫瘍化することによって引き起こされる悪性腫瘍で、放置すると一、二ヶ月で死亡することが多い病気です。
 猫白血病ウイルス(FeLV)の感染によって引き起こされる他、近年ではウイルスが陰性でも発生する消化器型リンパ腫が増えています。

症状

 症状はまちまちで、元気・食欲の低下、体重の減少、貧血などの他に、胸水による呼吸困難を主とする縦隔型や、お腹のリンパ節が腫れて消化器症状を起こす消化器型など多様な症状が見られます。

検査・ワクチン

 白血病ウイルスは少量の血液から簡単に検査を行うことができます。
 また、感染を予防する白血病ワクチンがあります。
 海外では5000頭~10000頭に1頭の割合で、注射部位に腫瘍ができてしまうことが報告されており、まだまだ完全なワクチンとはいえないのが現状です。
 しかし、500頭に1頭という高い発生率、発症後の完全な治療法が無いこと、野外に出てウイルスに接触する機会がある場合には、必要な環境の猫ちゃんにはぜひお勧めしたいワクチンです。

治療

 リンパ腫の症状が出てしまった場合、現在のところ完全な治療法はありません。様々な化学療法(抗がん剤等)を組み合わせたり、一般状態を改善するための対症療法(栄養・水分の点滴、解熱、輸血など症状にあわせた治療)などが行われます。
 固形癌とは違い、すでに体中に広がっているがん細胞に対抗するには化学療法しかないため、通常外科手術が行われることはありません。初期に鼻腔内に発生したリンパ腫に対して放射線を当てる治療法もあります。

 比較的化学療法に反応して症状の改善が見られることが多い腫瘍ですので、飼い主さんの協力を得られれば元気な姿を取り戻せる可能性があります。2種類の経口による抗がん剤による在宅治療の他、人間のリンパ腫治療と同じ抗がん剤による多剤併用療法などがあります。
 
 残念なことですが、抗がん剤治療で完治したように見えても多くは再発し、1年後の生存率は20%未満といわれています。しかし、中には寿命をまっとうできる猫ちゃんもいますので、希望を捨てないでできる限りの治療を受けさせてあげたいものです。

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肝リピドーシス

肥満猫

肥満猫 (船橋市 あおぞら動物病院)

治療中

経鼻胃カテーテル
にて流動食を給餌
流動食のカテーテル給餌 (船橋市 あおぞら動物病院)

胃ろうチューブ

胃壁に固定された胃ろう(PEG)チューブ
猫のPEG(胃ろう)チューブ
 あなたの猫ちゃん太りすぎではありませんか?
「デブ猫のほうが可愛いの!」って声が聞こえてきそうですが、実は肥満猫ちゃんがなりやすい命にかかわる病気があります。
『肝リピドーシス』という専門用語より『脂肪肝』といった方がわかりやすいかもしれませんが、人のように暴飲暴食がたたって徐々に具合が悪くなるわけではなく、肥満猫ちゃんでは3日間絶食状態が続いただけでも発症の危険性があります。

何らかの病気やストレスで食欲が落ちた場合、肥満猫は、細胞のエネルギー源となる糖分を食べ物から吸収できないため、体内の脂肪を溶かして糖分を確保しようとします。その結果、短時間のうちにあまりにもたくさんの脂肪分が肝臓に集まるために肝臓が処理しきれず、たくさんの中性脂肪が肝細胞に蓄積されてしまいます。

飼い主さんが気づくまで時間がかかることが多いのですが、数日間から1ヶ月近く食欲が落ち、一日中眠そうな顔をして、だるそうにしていたりするのがこの病気の兆候です。体重もだんだん減少していきます。
病状が進行すると黄疸(おうだん)が出て口の粘膜や肌が黄色くなったり、時々嘔吐をするようになります。
発見が遅れると高い確率で死に至ります。

確定診断には肝臓に針を刺して肝臓を一部採取する肝生検というものを行います。

治療には基礎的な疾患を治療すると同時に、適切な食餌を必要なカロリーを計算して強制的に給餌することで行われます。自分で食べてくれるようになるまで鼻にカテーテルを通したり、内視鏡手術で直接胃にカテーテルをつなぎます(胃ろう:PEG)。治療には数週間かかることもあります。

飼い主さんの愛情によって猫ちゃんの肥満や糖尿病が増えていることは皮肉なことですが、猫ちゃんは自分で健康管理ができませんので原因は明らかです。可愛いから、欲しがるからといって、与えていたのでは病気にさせてしまうようなものです。
どうせ愛情を注ぐのであれば常日頃から猫ちゃんの様子を観察し、何か異常があればすぐ気づいてあげる方が猫ちゃんにとって理想的ではないでしょうか。
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トキソプラズマ症と妊婦

トキソプラズマ

猫 トキソプラズマ (船橋市 あおぞら動物病院)

オーシスト

(糞便の浮遊法にて)
猫 トキソプラズマのオーシスト (船橋市 あおぞら動物病院)
 妊娠中の女性と猫との関係について時々相談をうけます。正しい知識を持たないと妊娠中は猫に絶対に近づかない、猫を処分しなければいけないといった間違った知識のもとで不幸な悲劇を起こしかねないので大切なテーマです。

 トキソプラズマとは原虫と呼ばれる微生物で、ウンチに排泄されるのは猫科動物のみですが、人を含む200種類以上の脊椎動物や土の中にも広く存在しています。
 猫ちゃんと暮らしていく上で、妊婦さんに関係する先天性トキソプラズマ症という病気があります。妊娠の数ヶ月前あるいは妊娠中に初めてトキソプラズマに母親が感染する結果、流産や胎児への障害を起こす可能性があります。

 ここで『猫=悪者か?』ということになります。
 現在、猫ちゃんからの感染は稀なものだということがわかっています。多くの方は全く知らないか、猫=悪者、さらに悪いことに中には獣医師や人間のお医者様でもこのように指導されている方もいらっしゃると聞きます。
 英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルによるとトキソプラズマ症の感染源の30~60%が生肉や調理の不十分な肉とのことです。ついで土が感染源とされガーデニングなどから感染したとされるもので、10%~15%くらいとなっています。

猫からの感染を成立させるには(a)トキソプラズマに初めて感染して1-3週間以内の猫の糞(b)数日間そのまま放置して、それを(c)トキソプラズマ抗体陰性の妊婦さん(d)手を洗わないで食事をするという非常に確率の低い状況が必要となります。

解説

  1. トキソプラズマ陽性猫は20-30%いるといわれているが、オーシストと呼ばれる感染源を排出しているものは猫全体で1%以下、初回感染後の1-3週間だけ排泄される。猫がトキソプラズマ陽性であるかどうかは、動物病院での血液検査で行うことが出来る。また、活動期には糞便検査でオーシストを検出できる。
    猫自身が感染するルートは、生肉を食べたり、感染したネズミ、鳥、ハエ、ゴキブリなどを食べたり、汚染された土の上を歩いたりすることによって起こる。
  2. 糞便中に排泄されても1-5日間しないと感染力を持たない。
  3. 日本人成人の20%前後がすでに過去に感染し抗体陽性である。抗体陽性の場合、感染の心配はないが、陰性の場合にはやはり注意が必要。
  4. 石鹸で手を良く洗うことによって洗い流すことができる。

 最後に妊婦さんがトキソプラズマ感染を防ぐための理想的な予防策をご説明します。

猫ちゃんからの感染予防

  1. 妊娠の可能性のある方は、医師に相談してトキソプラズマの抗体検査を受ける。IgG抗体検査とIgM抗体検査があり、前者で抗体の有無を検査できる。さらに、後者で最近の(通常3ヶ月以内の)感染かどうか判断を下す。
  2. 猫ちゃんの抗体検査を動物病院で実施して抗体の有無を確認する。
    1. 抗体の数値が低く安定している場合はほとんど心配にならない。
    2. 2回測定して、上昇が見られた場合、女性の方が抗体陰性であれば細心の注意が必要。しばらく動物病院に入院して毎日糞便検査を実施する(通常2-3週間以内)。退院後トキソプラズマに対する内服薬を与える。
    3. 陰性の場合は、新たな感染を起こさないよう、感染の危険性のある野外に出さない。生肉を与えない。予防的に出産までの間予防薬を飲ませる手段もある。
  3. ネコトイレの掃除は、妊娠中でない人にしてもらう。それができないときは、手袋をしてトイレの掃除をする。毎日掃除することが重要。掃除の後は、石鹸で手をよく洗う。

もっと大切なこと

  1. 一番の感染源である、生肉に注意する。市販の精肉はほぼ安全だそうだが生に近い肉やレバーの刺し身などは避けて、よく火が通った肉を食べること。
    生肉を調理した包丁やまな板は十分洗浄して、そのまま他の野菜などを調理したりしないこと。
    調理中に半生の状態で味見をしないこと。
  2. 庭いじりをするときは必ず手袋を着用すること。そのあと良く手を洗うこと。

 いろいろと複雑ではありますが、正しい知識を持った医師や獣医師に相談して、また飼い主さん側も不用意に不安がることなく猫ちゃんとの生活を維持してあげてください。愛する猫ちゃんが悪者にされてしまうなんて悲しいことですので。

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猫の慢性腎不全

腎臓の位置

猫の腎臓病・腎不全 (船橋市 あおぞら動物病院)

腎臓病用食事療法食

猫の腎不全用療法食 (船橋市 あおぞら動物病院)
あなたの猫ちゃん、こんな症状はありませんか?
◆お水を異常に飲みたがる。
◆トイレに行く回数が増えた
◆吐くことが多い
◆最近食欲がなく、やせてきた
◆お口がくさい
腎臓の病気の疑いがあります!

慢性腎不全は5歳を過ぎたころからかかりやすくなる死亡原因ワースト1の病気です。
猫の死因 慢性腎不全 (船橋市 動物病院)

 猫は、その祖先が乾燥地帯で生活していたため、尿中に排泄される水分が少なくてすむように、濃縮された尿を排泄します。その分、人間や犬に比べて腎臓を酷使させている動物です。
 腎臓は左右1対あるソラマメの種のような形をした臓器で、体の中で発生した有害成分(尿毒素)を排泄するため、尿を作る非常に重要な臓器です。また、造血ホルモン(エリスロポエチン)を生成している為、腎不全とともに貧血が進行する場合が多くあります。

 腎臓は肝臓と並んで『沈黙の臓器』と言われており、正常な腎臓機能の75%が失われないと、症状が現れません。初期の症状で発見しやすいのは異常にお水を飲みたがったり、尿量が増えて薄いオシッコをするようになることです。そのまま経過すると、食欲や体重の減少、嘔吐の回数の増加が見られますが、逆に言うと症状が現れたころには腎臓がかなりダメージを受けている状態といえます。肝臓と違って、腎臓には自己再生能力がありません。壊れた腎臓は再び元気になることはないのです。

 治療の大原則としては、完治が望めない病気だけに、病気の進行を少しでも遅らせることにあります。
 病院に連れてこられたころの猫ちゃんの多くは脱水と、尿毒症のため非常に消耗した状態になっています。また、重度の貧血を起こしている場合もあります。
 初期の治療としては、点滴をして脱水の改善と、尿を作らせて尿毒素を排泄させます。
 状態が落ち着いた後は、飼い主様との連携プレーが必要となってきます。
腎不全の進行度合いにより
①腎不全用療法食の給餌。
②経口吸着剤の投薬。
③定期的な腎機能のチェック(血液や尿検査など)。
④血圧降下剤(ACE阻害剤)の使用。
⑤セミントラやラプロスなどの腎臓を保護するお薬。
⑥貧血の治療にエリスロポエチンなどの造血剤。
⑦皮下補液(皮下点滴)による水分補給(自宅での点滴可能)。
などを行っていきます。

 特に、初期の治療として①食事療法が治療成功の重要なキーポイントとなります。
 適切なホームケアができれば、慢性腎不全の状態でも猫ちゃんにとって快適な生活を送らせることができます。ネコさんの性格にもよりますが、ご自宅で点滴をすることも可能です。

 20歳以上のご長寿猫ちゃんを見かけることも多くなってきました。残念ながらわたしの猫は13歳と16歳にて腎不全で亡くなりましたが、最後まで安らかに過ごさせることができました。この病気は早期発見が非常に重要ですので、中~老齢の猫ちゃんを飼っている飼い主さんは日頃の健康確認(特に飲水量や尿量チェック)を心がけてください。
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猫伝染性腹膜炎(FIP)

貯まっていた腹水

伝染性腹膜炎の腹水

治療薬

FIP 治療薬

塩酸オザグレル

塩酸オザグレル(FIP)
猫コロナウイルスが原因でお腹や胸に水が貯まる(腹水や胸水)や肝炎・腎炎・脳炎など多彩な症状を示し、ついには死に至る死亡率の高い病気。

 純血種の比較的若い時期(3歳未満)に多く発生する死亡率の極めて高い難病です。
 当院でも年に数件遭遇しますが、現在(2015年)も有効な治療法が見つかっていない病気です。
 病気の初期には、原因不明の発熱(39度以上)で食欲不振を訴えたり、気付かない場合には500g~1kgも痩せてから来院される場合があります。
 病気初期の場合、抗生物質や解熱剤等で一次的に治ったように元気を取り戻す場合がありますが、この病気の場合、しばらくしてお腹が大きくなったとか(腹水)、皮膚が黄色くなってきた(黄疸)等で気付かれる場合も多くあります。
 腹水や黄疸などは肝臓病でも起こりますが、腹水の検査や血液検査、年齢などを考慮してウイルス検査を行うとウイルスの抗体価ウイルス数でこの病気の診断をすることになります。
 この病気の確定診断が困難(不可能?)な理由にこの猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)が病原性の低い腸コロナウイルス(FCoV)と分類ができないことがあげられます。
 腸コロナウイルスは室内猫の80%近くが感染経験があるとされる軽度の腸炎を起こすウイルスです。猫伝染性腹膜炎を起こすのはこのコロナウイルスが体内で病原性の強いコロナウイルスへ突然変異を起こしたものと考えられています。
 前述の抗体価検査もウイルス数検査もコロナウイルスを検出するものであって、これが弱毒性のものか強毒性の猫伝染性腹膜炎ウイルスか診断することができません。
 ですので、臨床症状(改善しない発熱や原因不明の黄疸、腹水、胸水など)や年齢なども考慮してこの病気であることの仮診断を下します。
 残念なことに、この病気を発症してしまうと完治させることは極めて難しいと考えられています。
 しかし、例え完治が難しくとも、飼主さんの懸命な看護で残された余生を少しでも苦痛のないものにすることもできるかもしれません。
 当院では、様々な方面から有効といわれている次のようなお薬で飼主さんのアシストを行っています。
①ステロイド剤・・・免疫抑制剤・食欲改善
②インターフェロン・・・抗ウイルス薬・免疫調整
③塩酸オザグレル・・・血管炎を抑えて腹水の産生を少なくすると報告されています。
④シクロスポリン・・・症状を和らげる可能性がありますが、情報量や認知度は低いです。
⑤対処療法・・・点滴・強制給餌・輸血など
非常に難しい難病ですので、疑問に思うことはどんなことでもご相談下さい。最新の情報を元に最善の治療をさせていただきます。
院長の出身校である北里大学でもこの病気の新しい治療法・ワクチン開発に全力で取り組んでいます。いつかこの病気が不治の病で無くなる事を飼主様と同じ気持ちで祈っております。

【FIP関連のサイト】
ケーナインラボ・・・FIPウイルス遺伝子検査
日本臨床獣医学フォーラム(石田卓夫先生)FIPについて
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猫の便秘(巨大結腸症)

あなたの猫ちゃんは毎日快便でしょうか?トイレで砂をかく音はするのに出てない・・・していませんか?
 時々冗談で猫ちゃんと女性の方は便秘が多いんですよなんて話をするのですが、猫ちゃんは骨盤の構造上、他の動物より便秘が起こりやすいことがわかっています。
 当院の患者さんたちも、よくよくお話を聞いてみると2~3日に1回しか便はしないというような猫ちゃんが結構いるようです。

 猫ちゃんがトイレを我慢してしまうような理由が無いようにしたいものですが、トイレのお掃除がサボり気味だったり、同居人(猫ちゃんや飼主さん)の気配でゆっくりトイレができなかったりを繰り返しているとこの病気になってしまうことがあります。また、保護する前の幼少期に骨盤の骨折があったのをそのまま気付かずに大きくなったりしているケースも時々あります。
 そのような便秘が繰り返されると、便を貯めている大腸(結腸)が麻痺して、便が貯まっているのに催さなかったり、自力で排泄できないような多量の便が貯まってしまいます。 
 
 治療にはお薬や食事などの内科療法、あるいは、内科療法に反応が乏しい場合の外科手術があります。
 内科療法としては①食物繊維の多い便秘用療法食の給餌②便を柔らかくして排泄させやすくする便軟化剤③腸の蠕動運動を促進して、排便を助けるお薬④生活習慣の見直し(トイレのケアや十分な水分補給)などがあります。
 これらの内科療法を行っているにも関らず、病院での浣腸治療を繰り返し行わなくてはならないような場合には、当院では機能しなくなった結腸を摘出する『サブトータル結腸切除術』という手術を行い、猫ちゃんの苦痛を和らげてあげられるよう努力しております。
 
 便が出なくてトイレで吐いている猫ちゃんを見るのも辛いですが、具合の悪くなっている猫ちゃんに浣腸の処置を行うのも、獣医師としてかなりのストレスとなります。はっきり言って私の一番嫌いな処置です。
 一日も早く、便秘で苦しんでいる猫ちゃんを楽にできたらと考えています。悩まずにご相談ください。

大腸内の多量の便

猫の便秘 (船橋市 あおぞら動物病院)
(画像クリックで拡大)

便秘の猫ちゃんのレントゲン写真です。お腹を触るとコチコチの石ころのようになった便に触ります。

切除した結腸

猫の便秘 (船橋市 あおぞら動物病院)

手術により摘出した結腸です。繰り返す便秘で伸びてしまっている為、本来の機能をはたしていませんでした。

手術によりつないだ腸

結腸亜全摘術 (船橋市 あおぞら動物病院)

手術により正常な小腸と切り取った大腸の端を縫合します。あとは、便秘が解消されるのを祈るばかりです。

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