うさぎの飼育について

飼育環境

ケージ・・・最低でも、ウサギさんがリラックスして伸びをした時でも十分ゆとりがあるサイズが必要です。立ち上がった時に頭をぶつけない高さが必要です。
床材・・・スノコや牧草を敷きます。掃除がまめにできるようでしたら、牧草がベストです。最近のウサギ専用の金属製スノコは衛生管理がしやすく、足底潰瘍(ソアホック)にはなりにくくなっているようです。
温度…朝晩の急激な温度変化が起こらないように室温を調整しつつ、骨折防止のため、適度な日光浴が必須です。

食事(フード)

※ウサギさんの嗜好性は幼少期に決まってしまいます。大人になると、食べなれないものに警戒心を示すようになってしまうので、偏った食事にならないよう注意してあげてください。

牧草・・・ウサギさんの主食として、常時食べられるようにしておいてください。生後6ヶ月くらいまでの成長期には栄養価の高いアルファルファ主体の牧草を、大人になるにつれて徐々にチモシー牧草中心に切り替えていきます。ウサギさんに多い歯の異常や毛球症等の消化器疾患の良い予防になります。
ペレット・・・もともと実験動物・家畜などのために開発されたフードで、無差別に与えると肥満や老齢での消化器疾患の原因になる可能性があります。あくまで牧草が『ごはん』で、ペレットは『おかず』と考えてください。牧草を主食とした場合、一日当たり成長期で体重1キロにつき25g、維持期で15g、4歳以上で10g以下を目安にすると良いといわれています。
生野菜・・・生後4ヶ月くらいからいろいろな野菜を副食として与えてください。
果物・・・カロリーが高いため時々のおやつ程度に与えるだけで十分です。バナナやウサギ用ドライフルーツ(パパイヤやマンゴー等)を食べられるようだと錠剤や粉薬を与える際に便利です。

去勢・避妊手術について

【目的】
①攻撃性の減少。マーキング(オシッコを飛ばす)が減少。
②トイレトレーニングが行いやすくなる。
③発情によるストレスが無くなる。
④生殖器疾患の発生予防。特にメスのウサギさんでは高率(5歳以上で50%ともいわれている)に子宮腺癌が発生することがわかっています。この為、メスのほうが短命だともいわれています。

※高齢になると、内臓疾患や体内脂肪等により手術のリスクが高くなります。できれば、1歳前後に行うことが理想的です。

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足底潰瘍(ソアホック・飛節びらん)

後足のびらん

うさぎのソアホック

後足の潰瘍

うさぎの足 ソアホック

前肢のびらん

前足の炎症
 ウサギさんをヨイショと仰向けにしてみてください。あるいは足を広げて伸びている時に足の裏を観察してみてください。
 ウサギさんの足の裏には犬猫の肉球のようなクッションがありません。代わりに豊富な毛で覆われています。
 しかし、いくつかの理由で足の裏の毛が失われると、時に命に関わる重大な病気になることがあります。

 足底潰瘍(別名:ソアホック、飛節びらん)とは、この足底の皮膚におこる病変です。脱毛し軽度に赤く腫れる程度から重度な潰瘍を起こし、出血や感染をおこします。骨に感染を起こしたり、それによって全身的な敗血症に陥り死にいたるケースもあります。

 フローリングでの飼育やケージの底が硬すぎることが大きな要因になりますが、多くの飼主さんがスノコで飼育されているのに、病気になる個体と平気な個体がいるので、床材以外の要因も悪化につながると考えられます。
 床が湿っていて不衛生だったり、ケージが狭すぎて運動不足だったり、栄養を取りすぎて肥満になることも原因として挙げられます。また、爪が伸びすぎていたり、全身的な体調不良や栄養失調でも発症の危険性が高くなります。

 治療としては、まず飼育環境の再確認です。衛生的な環境で発症したのであれば、更にクッション性を持たせる為に、牧草を敷き詰めたり、市販の休足マットを何枚かケージに使用してみるのも良いでしょう。
 併用して、ケージが狭い場合は大きめのものを用意したり、肥満のウサギさんでは、牧草を主食に出来るような食事環境で自然なダイエットを行います。
 半導体レーザーを当てて炎症と痛みを緩和することも可能です。炎症の強いものでは頻回のレーザー治療が必要となりますが、効果は十分感じられると思います。

 非常に治療に時間がかかる病気なので、日頃から足裏のチェックを行ってあげてください。

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うさぎの子宮腺癌

摘出した卵巣・子宮

摘出した卵巣・子宮

摘出した卵巣・子宮

子宮腺癌

手術後

手術後
 高齢のウサギさんで子宮腺癌が非常に多くみられます。米国のHRS(House Rabbit Society)の報告によると、6歳以上の雌ウサギで、実に50%以上の発生率があると報告されています(すなわち、雌ウサギさんの半分はガンで亡くなるという考えもできます)。

 ウサギ以外の動物では血尿をした場合、ほとんどが膀胱炎を原因とする血尿ですが、3歳以上のメスウサギが血尿をした場合、当院では9割以上の確立で子宮の病気が見つかっています。膀胱炎の場合、少量頻回の排尿行為や排尿姿勢のままじっと動かない等の独特の症状が見られることが多いのに対して、子宮疾患の場合は排尿時に血液が洗い流されて出てくるので、ほぼ無症状です。

 発症時には、軽度な血尿しか見られないこともあり、膀胱炎の治療として抗生物質や止血剤で経過を長引かせてしまうケースも見られます。また、転移もしやすく、肺に転移を起こすと呼吸困難を起こし、死の転帰を迎える非常に恐ろしい病気です。

 高齢での発生が多いことから、雄のウサギさんに比べて雌のウサギさんのほうが短命だとも言われています。

 病気になってからの手術では、高齢での手術になることや全身状態の悪いことが多い為、麻酔の覚醒が悪く、出血も多くなり手術の危険性が非常に高くなる傾向があります。

 もし出産を考えないのであれば、できれば早期(8ヶ月~1歳半くらいまで)に避妊手術を行うことが、最善の予防となります。



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うさぎの消化管うっ滞(毛球症)

胃の中の毛球

胃の中の毛球 胃の中の毛球

摘出した毛球

毛球 毛球
 当院に来院される食欲不振のウサギさんを原因別にざっと分類してみると、7割ほどが原因のはっきりしない「消化管うっ滞」に分類されています。
 以前は、毛球症と呼ばれていましたが、全身毛に覆われたきれい好きのウサギさんは、常時胃の中にある程度の毛が貯まっています。
 ですので、完全に毛だけが原因で詰まってしまうというようなケースは案外少ないのではないかと感じています。
 以前は、この病気を毛球症としてご紹介いたしましたが、現在は消化管うっ滞としてご紹介しています。
 自然界のウサギさんは栄養価の少ないしかし繊維の多い食物を常に食べることによって胃腸を動かして健康を維持しています。
 人間と暮らしていく環境で、様々なストレスや運動不足、繊維の少ない食事などの悪条件が重なると、ウサギさんの消化管(胃や腸)の動きが低下してしまいます。

 はじめは食欲不振として現れることがほとんどですが、実は同時に排便の低下~消失が起きており、注意深い飼い主の場合食欲があるのに便が出ていないという異変に気付ける場合があります。気付くのが遅ければ徐々に衰弱し、手当てが遅れれば死亡することもあります。
 診断は、症状や経過の問診、胃の触診やレントゲン検査、他の病気の除外のための血液生化学検査などによって行われます。

 治療はまず内科療法から行います。脱水などの全身状態の悪化を改善するための皮下補液、胃腸の運動を促進する薬剤、食欲刺激剤、そして胃腸運動を刺激するためにウサギ専用の高繊維流動食の強制給餌など積極的な治療を行います。

 パイナップルやパパイヤなどにも蛋白分解酵素が含まれているため、ウサギ用オヤツとしてペットショップにもいろいろなサプリメントを見かけるようになりました。
 実際には、それらのものが本当に効果があるのかどうかは、はっきりとした研究結果が無いようです。

 軽症なものは3~5日程度の内科療法で改善が見られますが、中には完全な閉塞によって、外科手術が必要になるケースもあります。
 しかし、草食動物は手術や入院等のストレスに弱く、手術後の回復に非常に時間がかかる場合が多いため、どうしても内科的に治療できないと判断した場合だけ行うようにしています。実際、毎日のように食欲不振のウサギさんが来院していますが、開腹手術を行うのは年に1~2例ほどです。

 歯科疾患とともに非常に多い病気ですので、日頃からの予防が最重要です。
 日頃から牧草などの繊維が多い食事を与え、適度な運動とまめなブラッシングを行うことが良い予防になります。

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うさぎの不正咬合(ふせいこうごう)

奥歯の検査

ウサギの診察

切歯の不正咬合

ウサギの不正咬合

臼歯の不正咬合

ウサギの不正咬合

抜歯した臼歯

抜歯した臼歯
 ウサギといえば誰でも思いつくのは長い耳と赤い目、長い前歯でしょうか。
 ウサギさんのチャームポイントである立派な歯ですが、実は非常に病気になりやすい器官なのです。

 ウサギには上下あわせて合計28本の歯があります。全てが生涯にわたって伸び続ける常生歯です。
 特に、前歯(切歯)は1週間で3mmも伸びるので、異常が生じるとあっという間に伸びてしまいます。
 また、気づきにくいのですが、奥歯(臼歯)が伸びてしまうと、頬や舌を傷つけ食事が取れなくなってしまいます。
 これらの歯の異常な咬み合わせから生じる病気を不正咬合といいます。放置すればするほど様々な合併症(膿瘍、鼻涙管障害、胃腸停滞など)を引き起こす非常に怖い病気です。

 原因には切歯の場合、遺伝性(ロップイヤーで多い)や外傷性(ケージをかじったり、顔面の打撲)が多く、臼歯では遺伝性(ドワーフ系の小型ウサギで多い)の他に、食事が多く関係していると考えられている。特に、繊維分の少ないペレットや野菜、おやつを多給することは臼歯のすり潰し運動が減り、正常な歯の磨耗が妨げられると考えられています。
 一度異常な方向に伸びてしまった歯は、自然に矯正されることは稀で、固いものを食べなくなったとか、食事に興味はあるのに食べないとか、口の周りがいつも唾液で濡れているとか、そのような形で飼い主さんに発見されるますが、動物病院に来院したときには、生涯にわたっての治療が必要となってしまうケースが多く見られます。

 診断は、ウサギさんの診療に慣れた先生であれば、注意して口の中を覗けば殆ど発見することができます。

 治療は、切歯の場合、おとなしい子であれば、専用の切歯カッターで簡単にカットすることができます。押さえられるのを嫌がるウサギさんでは鎮静処置が必要になる場合があります。
 臼歯では通常全身麻酔が必要になります。ウサギさんのお口は非常に小さいため、奥歯を削るには大きく口を開く必要があるからです。

 幸い、口の中の痛みや伸びた切歯の煩わしさから開放されたウサギさんの多くは以前にも増して良く食べるようになります。きっと、よほどお腹を空かせていたのでしょう。

 牧草を主食に与えたり、繊維分の多い良質のペレットを選んだり、ストレスをためてケージを咬んだりしないように予防をすることが重要です。
 一度、かかりつけの動物病院で口の中をチェックしてもらってみてはいかがでしょう。

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うさぎの膿瘍(のうよう)

下顎の膿瘍

うさぎの膿瘍

摘出した膿瘍

うさぎの膿瘍

膿瘍の内容物

うさぎの膿瘍
 うさぎさんのアゴの付近がだんだん腫れてきたら要注意です。ウサギに非常に多い膿瘍(のうよう)の可能性があります。
 膿瘍とは細菌感染により発生した膿を蓄えた空洞のことを言います。

 通常、うさぎさん以外の動物では膿瘍を切開して膿を洗い流し、抗生物質を投薬すれば間もなく完治させることが可能です。
 しかし、うさぎさんの膿瘍ではこの方法ではまず完治は望めません。恐らく次に病院にかかる時にはもっと悪化した状態で再診することになるでしょう。非常に厄介な病気です。

 なぜ、うさぎさんだけこのように治りにくいのでしょうか?まず、うさぎの膿が非常に濃く固いこと(クリームチーズや練りハミガキ状)、膿瘍の袋が非常に丈夫なこと、ウサギさんが細菌感染に弱いことがあげられます。
 特に、顎にできた膿瘍は歯の感染が原因のことが多く、口の中から顎の骨を通して皮膚の下までトンネルがあるため、ウサギ専門病院の獣医師でも9割は治らないと伝えるほど治療が困難な病気です。

 姑息的に皮膚を切開して排膿、消毒を行うだけでは完治どころか痛い思いをさせた上に悪化させることにもなります。
 治療の原則は、原因となっている臼歯の抜歯、徹底的な洗浄消毒、完全な膿瘍組織の摘出です。
 しかし、麻酔下でこのような処置を3回4回と繰り返しても治らないケースも見られます。高齢の為、麻酔をかけての大きな手術が行えない場合もあります。
 当院も所属しているエキゾチックペット研究会の先生方も様々に試行錯誤しながらどうにかこの難病を治そうと努力しています。

 当院では、ウサギさんの年齢や膿瘍の重症度、飼主さんの治療への理解を総合的に判断した上で、治療方法を検討しています。
 一日でも早く快適な生活をおくれる様、スタッフ一同ご協力したいと思いますのでお気軽にご相談下さい。

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ウサギの斜頚(特にエンセファリトゾーンについて)

斜頚その1

ウサギの斜頚 エンセファリトゾーン

斜頚その2

ウサギの斜頚 エンセファリトゾーン

フェンベンダゾール

フェンベンダゾール
 うさぎさんでは比較的多くみられる症状に斜頚(しゃけい)というものがあります。
 ある日突然、頭がどちらかの方向に傾き、眼球振盪(目が一定方向に揺れ動く)、まっすぐ立てなくなり転がるといった症状が現れます。
 ウサギさんの斜頚の原因として、①エンセファリトゾーン(原虫の一種)②パスツレラ菌などによる内耳の異常③脳腫瘍などの神経疾患が考えられます。
 近年報告された情報(インターズー VEC23号より)では無症状のウサギさん196頭を含めた337頭の内エンセファリトゾーンの陽性率は6割以上であったと報告されています。無症状ですが、感染経験のあるウサギさんが非常に多いことに驚かされます。
 数年前より国内機関でこのエンセファリトゾーンの抗体検査を行えるような環境が整いました。
 しかし、結果が出るまでに数日間を要すことと、無症状でも高い陽性率がみられる為、確定診断ではなく参考程度の検査になる場合もみられます。
 当院でも、当初この検査を行っていましたが、上記の理由から希望される飼主様に対してのみ行うようになりました。
 治療としては、抗生物質ではなくフェンベンダゾール(ウサギに詳しい病院にしか在庫が無いかもしれません)という駆虫薬を長期(通常1ヶ月)に渡り内服します。しかし、仮診断の上での投薬なので、パスツレラ菌などの細菌感染の可能性も考慮し抗生物質の投薬も2週間程度併用します。
 神経の保護のためにステロイド剤を使用するケースもありますが、細菌感染を悪化させる可能性があるので、最初から処方することは当院ではあまりありません。
 一番大事なことは、薬の効果が現れるまで(2週間以上かかる場合があります。)、食餌を自分で取れない場合は飼主さんの手厚い看護が必要となります。
 この病気で命を落とすことがあるとすれば、食事を摂れない事による栄養不良によるものが多いと思われます。
 自分で食べてくれるようになるまでは、場合により流動食を自宅で与えてもらう必要が出てきます。
 神経の病気ですので、数日で改善するケースはあまりありません。なかなか良くならないウサギさんを前に、本当にこの治療で良いのか葛藤される飼主さんも沢山おります。
 スタッフ一同、飼主さんの手助けをできる限りいたしますので、些細なことでも遠慮なくご相談下さい。

エンセファリトゾーン検査

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ウサギのダニ寄生による皮膚病について

ウサギズツキダニ

ウサギズツキダニ(ウサギのダニ)

ウサギツメダニ

ウサギツメダニ(ウサギのダニ)
 ウサギさんの被毛をよく観察してみてください。毛の表面にやや茶色の非常に小さなフケのようなものがたくさんついていないでしょうか。
 私も老眼がすすんできて、肉眼で発見するのが困難になってきましたが、何とかギリギリ発見できる大きさです。実際にはセロテープで毛ごと採取させてもらい、顕微鏡で確認します。
 ウサギズツキダニは大量寄生でないとあまり皮膚炎を起こさないので、健康診断で偶発的に見つかるケースが多いです。

 
 画像のようにフケだらけになって痒みが強いものはウサギツメダニの場合が多いですが、こちらは人間を刺すことがありますので要注意です。
 出もしていないのにどこからダニが・・・と思われるでしょうが購入時からずっと寄生していたのを気づかないケースがほとんどのようです。

 治療はダニ駆除薬のスポットタイプを2週間隔で2回投薬します。1回だと十分な効果が得られないことがあります。スポットタイプの駆除薬もウサギさんに有害作用が無いものを選ぶ必要があります。犬猫用のスポットタイプでウサギさんの死亡例も報告されているため、広く使われているセラメクチンという成分のスポットタイプを使用しています。

 同時に、飼育環境の清掃も大切ですが、ウサギの体表から離れると数日~10日程度しか生存できないので、他のウサギさんに感染させないように注意すれば、駆除薬の効果があるうちに死滅してしまうと思われます。
 心配な場合は、一般の消毒薬では効果が無いためスノコやケージを熱湯で消毒します。

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ウサギの尿石症(砂尿症)と赤色尿

砂尿

ウサギの尿石 砂尿症

砂尿症の膀胱

ウサギの尿石症 レントゲン

うさぎの赤色尿

血尿?赤色尿?うさぎ
 ウサギの尿は多量のカルシウムを含んでいるため、正常でもやや白く濁っています。色も黄色~オレンジ色に見える尿をしますが、一見血尿ではないかと思うほど赤い色の尿が出ることがあります。
 
 カルシウムの多い尿を排泄するため、必要以上にカルシウムの多い食材を摂取してしまうと膀胱結石や砂尿症(泥のような砂混じりの尿を排泄する)などの泌尿器系の疾患が起こりやすくなります。

 特に、成長期用の牧草として嗜好性と栄養価の高いアルファルファ牧草はカルシウム含有量がチモシー牧草に比べて高いため、成長期を過ぎてのアルファルファ牧草の給餌は制限する必要があります。チモシーに比べてアルファルファには2~3倍程度のカルシウムが含まれています。

 尿石症の予防として、カルシウムを適切に制限する他に水分摂取量を増やして尿量を多くすることも大切です。水分を多く取らせるためには、ケージの外に出して運動させる必要があります。また、生野菜を適量取らせることも有効ですが、カルシウムが多い生野菜を与えすぎるのも問題になる場合があります。
 特に、カルシウム分が多い生野菜としてパセリ(290mg)、大根の葉(220mg)、水菜(210mg)、小松菜(170mg)など。また、ホウレンソウはカルシウムは多くない(49mg)のですが、シュウ酸という成分(生のホウレンソウのアクやエグミの原因)がたくさん含まれているため、結石の要因になります。

 変わったものでは低カルピュアウォーターというカルシウム濃度が水道水の1/20というペット用の飲料水も販売されています。

 病的な尿石症になると、レントゲンの撮影で膀胱の輪郭がはっきりと骨のように白く写ったり、手で触ったときの膀胱が粘土のような触感になります。また、黄土色の泥のような尿を排泄するため、尿道の周りの毛や皮膚に付着して、皮膚炎を起こすことがあります。あまりに水分が少ない尿なので、下痢と勘違いされる方もいらっしゃいます。

 そのような尿の状態による病態を砂尿(さにょう)症といいますが、食事や水分摂取を改善する他に、定期的な圧迫排尿の必要があります。
 過去に数例、発見が遅れたために、自分で排尿が不可能になる膀胱麻痺(アトニー)を起こしてしまった不幸なウサギさんもいらっしゃいます。

 色尿ですが、尿中にポルフィリンという色素が排泄されるために、赤く見える尿が出来上がります。赤く見えるだけで血液の成分(赤血球など)は含まれていません。実際の病気での血尿の場合、尿試験紙や顕微鏡での観察で赤血球が検出されます。
 どのような理由でポルフィリン尿が出てくるかという原因については、はっきりわかっていないようですが、抗生物質の内服中や急に寒くなった日、ニンジンなどに含まれるβカロテンなどが原因ではないかといわれています。

 尿試験紙があれば、自宅でも簡単に血尿か赤色尿かどうかの判断が可能なため、当院でも飼主様にお渡ししています。血尿の場合は試験紙が1分以内に(多くは数秒で)黄色→緑色に変化します。
 もし反応が見られた場合は、オスの場合は膀胱炎や尿石症、メスの場合は子宮疾患の可能性が高いため、すぐに来院いただくようお話しております。
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ウサギの診療について(当院の診療現場から)

ロップイヤー

ウサギの診療 あおぞら動物病院

うさぎの診療

ウサギの突然死
 ウサギの診療を行っているかという動物病院向けのアンケートで25%の動物病院が診療を行っていないと回答がありました。さらに、犬や猫では当たり前の去勢や避妊の手術が行えない病院を含めると2件に1件の病院しか診療を行えていない状況です。病院の名前で、あえて犬猫病院としている病院はもちろんですが、ホームページ等を確認するとウサギが診療対象に入っていない病院が多いと思います。
 
 獣医科大学では6年間の教育の殆どが牛や馬などの大動物と、犬を主体とした小動物に時間が割かれます。私が学生のときに、ウサギの治療や手術について教わった記憶は殆どありませんでした。
 そのような状況ですので、ウサギの診療を行っている先生方は修行先の動物病院や、ウサギさんの診療の第一人者の先生方の書籍を熱心に勉強して独学で知識と技術を学んでいると思われます。
 当院院長の修行先も幸いにもウサギの診療を行っていましたし、ウサギさん自体も好きだったためにウサギの診療の情報は新人時代から意識して収集してきました。
 幸い、コツコツと行ってきた努力が報われたのか、当院のウサギさんの診療割合は犬、猫についで全体の20%以上になりました。また、当院で働く勤務医の先生方もウサギの診療を熱心に吸収してくれています。
 
 ウサギの診療を行っていない『診ない』先生方の『診ない』理由を上げていくときりが無いかもしれませんが、
①ドワーフ系のウサギなど小型の動物のため、一般診療に特殊な技術が必要。
②ウサギの生態や治療方法の情報が少なく、手探りな治療になることも多い。
③ネット社会になって、飼主さんのネットでの情報収集が診療に影響する(いい意味でも悪い意味でも)。
④ウサギの診療に精通した獣医師仲間が周りにいないため、孤立した診療に陥りやすい。
⑤診療中の事故が起こりやすい(ネットでも事故の情報が多数掲載されています)。
・骨折・・・骨が猫の半分程度の厚みしかないことに加えて、運動不足や日光不足の飼育環境。
・突然死・・・捕食される側の動物であるウサギは恐怖により急性心停止を起こす機構を持っている(アドレナリンショック)。
・突然死2・・・症状を表さない動物であるため、飼主や時に獣医師が想定しているより重症である場合がある。

⑥不慮の事故(当事者ではなく第三者から見て避けられなかったであろう事故)が起きたときダメージが獣医師側にも大きい。
 
 当院でも、ウサギさんの診療件数が増えれば増えるほど、犬猫の診療だけを行っていれば受けないであろう重圧がどんどん増えていくのを感じます。何度もウサギさんの診療を辞めようかと考えたこともありました。実際に、以前は行っていた小鳥の診療は未熟なままご迷惑をかけてはいけないと診療対象から除きました。
 
 至らぬことも多いと思いますが、ウサギの専門病院との連帯も取りながら、地域で一番腕の良い動物病院になれるよう努力いたしますのでどうぞご声援のほうよろしくお願いいたします。
           
あおぞら動物病院 院長 八島良平
平成26年12月1日

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