あおぞら動物病院 院長コラム

療法食(処方食)のネット販売ってどうなの?

   


動物病院 フード販売

ょっとを吐くかもしれないのでご注意を。上の画像は私が合成して作りました(笑)。

今回はかなり長文になりますので、できればご自宅のPCでゆっくり閲覧していただければ幸いです。

ネットで注文できるって便利ですね。私もアマゾンや楽天市場で日常的に買い物をしています。最近は猫のトイレ砂7kgを8袋も購入しました。だって、5,000円以上でないと送料無料じゃないので。

もう10年位前から動物病院の先生同士で話題にならない日はないのですが(ちょっと大げさ?)、ネットでの療法食(処方食)の販売競争が止まらないという問題が起きています。あまりに安売り競争が激しすぎて、全国展開していた九州の某動物病院が負債をかかえて倒産するという事も起きています。

良いものを安く購入できるということは、消費者にとって非常に良いことだと思います。実際に、ネットで購入できる動物病院用製品で日本製のものはネットでも動物病院の店頭でも同じ品質のものが手に入ると思います。

なら、ネット販売で安いものを購入できればそれで大正解なのかというと、ちょっと困った問題を考えてもらう必要があります。ちなみに、療法食とは大手療法食メーカーのHill’s(ヒルズ)社の説明によりますと

「特定の病気などに栄養的に対処するために栄養バランスが考慮され、専門的なアドバイスや指示にしたがって与えることを意図したペットフードのことです。多くの製品は総合栄養食と同等の栄養バランスを満たしていますが、病気を管理するための特殊な組成をもつフードなので、獣医師の指示にしたがって与えましょう。」

となっている製品です。

食品ですので、誤った使い方で長期間与えると健康を害する危険性があります。

時々、病気の際に獣医師が指導した製品(サンプルをお渡しした製品)とは別の製品を選んで購入しているオーナーさんがいらっしゃいます。当然、良くなるどころか病状が悪化するといった問題が発生します。飼主さんもペットの病気が良くならないと不安なままですし、指導したはずの獣医師もなぜだろう?と頭を傾げます。

具体例の一部を挙げますと、肝臓用の療法食として製品化されているヒルズのl/dも重度~末期の肝臓病(肝硬変や門脈シャントなど)に使用するために、極端に栄養バランスが調整されています。血液検査で肝機能の数値が少し悪かったからといって安易に与えると栄養失調の危険性が高いです。

結石溶解用のs/dも6ヶ月以上は続けて与えないようにと指示書きがありますが、フードの指示書きを詳しくご覧になったことがありますでしょうか?

ロイヤルカナン(ROYAL CANIN)社のPHコントロールという泌尿器疾患用の製品は、使用目的によってpHコントロール0pHコントロール1pHコントロール2、pHコントロール2ライト、pHコントロールオルファクトリー、チキン味、フィッシュ味など一つの病気に対して様々な種類がありますが、ご自身で使い分けが出来ますでしょうか?

これら療法食といわれているフードは、動物病院での適切なアドバイスがあってこそ役に立つ製品と考えております。

(1)どうしてそのような食事が治療に必要なのかを説明する時間と労力。

(2)数種類の無料サンプルをお渡しして動物が食べてくれるフードを選んでいただくサービス。

(3)その効果が十分発揮できているか確認するチェック体制。

(4)食べてくれない場合への対処法のアドバイス。

などネット販売業者では行えない(行わない?)部分を動物病院では請け負っています。

確かに、ネットの方が数百円安いかもしれませんが、動物病院では販売元の決めた標準価格で販売する暗黙のルールがあります。

ネットで同様の問題をさがしていたら、とある掲示板に以下のようなコメントを見つけました。

「貴方が商売していて、ライバル店も同じ商品を扱ってて、あちらの方がお安いからあちらで買うわとかはっきり言われたらどう思いますか?」

ウマイなぁと思いました。

実際には、原材料費や原油価格の高騰等を理由に年に1度くらいのペースで仕入れ価格が値上がりしています。一度値上がりすると原油価格が変わったとしても製品の仕入れ値が安くなったことは一度も無いのです。最近では円安の影響なんだとか。

各メーカー時期をずらして頻繁に価格改定があるのでそれぞれ飼主様にインフォームするのがあまりに大変なため、当院では数年前から一切価格を変更しなくなりました。もしかしたら、いずれネットの安売り価格と同じくらいの価格になるかもしれません(笑)。実際、フードの仕入れ値がどんどん上がっているので、フードを販売してもほとんど利益はありません。私も飼い主様同様に療法食高すぎる()と思っています。

当院には中卸しの業者さんが毎日出入りしているので療法食の在庫ストックをおいておく必要がありません。オーナー様から注文をいただいてから発注をしていますがほぼ当日~2日以内に新鮮なフードが入手可能です。ですので、不良在庫をかかえる心配が無いため動物病院側のリスクは原則ありません。

オーナー様には来院していただく手間もありますし、動物病院での療法食販売での利益自体はほとんどありませんので、私個人としてはネット購入でも店頭購入でもどちらでもいいというスタンスです。

最後にを吐きますが、獣医師も普通の人間です。時間を割いて説明・指導したのに、ネットで購入したあげく食べたらお腹を壊したなんてクレームを言われたら怒りも沸いてきます。今後療法食や特定の予防薬(フロントラインなど)がそのようになっていくようだと他の部分(診療費など)で値上げをしなければ健全な経営が出来ないと業界内では話題になっています。

回りまわって「動物病院≒高い≒悪徳⇒ペットたちが適切な治療を受けれない」といった誰にも得にならない状況にならないよう願っております。


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