現役獣医師が解説する『動物病院開業の費用・資金』

船橋市のあおぞら動物病院

あおぞら動物病院の医療設備紹介ブログへのご訪問ありがとうございます。

このサイトの管理人は実際に千葉県船橋市で動物病院を開業している獣医師です。

自己経験ですが、2006年に千葉県船橋市に30坪弱のテナントにて動物病院開院。2013年に市内移転も経験しましたので、それをふまえて、動物病院開業時の医療設備費がどのくらいかかるか考えてみました。

ここ数年の動物病院開業の現状

動物病院の新規開業が、動物病院の過剰供給により難しくなってきているといわれています。実際に、私が開業するころは誰もかれもが将来の不安なく、開業すれば最低でも食べてはいけるくらいの収入は得られると考えられていました。

ゆっくり修行しているより、さっさと開業してしまった方がお得だなんて考えから、ろくに研修もしないで開業してしまう先生もいました。その点5年半の修行での私の開業は当時は慎重な方でした。

現在は、5年程度で開業する先生はほとんどいないのではないでしょうか。勤務医の待遇が向上した(昔は修業・研修という意識で雇用されていた)こともあると思いますが、開業のハードルは確実に高くなった印象を受けます。

オーナー様から要求される診療レベルも高くなってきたため、研修に時間がかかるようになってきています。確実に開業に対するハードルが上がっています。もちろん動物病院や獣医師の質も高くなり動物たちにとって非常に望ましいことと思います。

実際にここ2年以内で船橋市内に開院された3件の動物病院の院長先生はそれぞれ十分な時間の開業準備をされている感じです。大学時代の友人の先生は卒業から13年目にしてやっと開業しました。当院近くの船橋 動物病院さんは8年間研修されたそうです。またもう一人の先生は開業当初からレーザーを導入して手術に利用しているそうです。

最低限必要な医療設備は?

・X線撮影装置   150~250万円  ・手術台  30~40万円

・診察台 20~30万円       ・麻酔器  30万円前後

・顕微鏡 20~30万円       ・遠心器  22万円

・超音波スケーラー 10万円~   ・ステンレスケージ  20万円~

・オートクレーブ  25万円~   ・耳鏡・検眼鏡セット 10万円前後

・シャーカステン 8万円前後

当院が開業時に買い足した医療機器

・生化学検査装置(ドライケム3500V) 180万円前後

 ・自動現像器(新古品 フジ セプロス)  70万円

・無影灯       50万円~

 ・分包器(ヤフーオークションにて中古) 10万円前後

・白黒エコー(東芝 Famio5)   150万円前後

・電機メス    35万円~

・ステンレスシンク 30万円前後    ・輸液ポンプ   12万円前後

 

最近の新規開業はこうなっている?

・麻酔モニター  250万円  ・簡易ICU装置    70万円前後

・CR       200万円~   ・自動血球計算装置  100万円~

・カラーエコー  250万円~     ・EOG滅菌器    40万円前後

標準的な動物病院開業時の医療機器費用 

 原則、中古ではなく、新品購入での計算をしています。中古の場合、ものが見つかれば半額以下で手に入ることもあると思いますが、新品で購入しても、1年以内あるいは2年以内にメーカー修理が必要になったものも数点ありますので、高額な設備はリースや分割購入でも新品で購入されることを強くお勧めいたします。

 動物病院開業にかかる医療機器費用は600~1500万円で900万円くらいが標準だそうです。当院でも計画では800万円以下に抑える予定が気がついたら1000万円になっていて非常に慌てた記憶があります。

 動物病院は、小さいながらも全科診療と手術設備を有している施設がほとんどです。

 テナント開業でも約3000~4000万円。土地・建物を建てての開業となると1億円以上の借金が必要になります。

 幸い技術職のため、事業に失敗して借金を抱えても勤務医として再就職することは可能ですが、獣医師の勤務医の平均年収は540万円(36.2歳)と特別高給取りではありませんし、その後も給料の上昇がほとんど期待できません。ですので奮起一番大きな借金を抱えての開業するのですがある意味博打かもしれません。

 ペットブームも一段落しましたが、まだまだ新規開業の競争が激しくなってきているようです。私の住む千葉県船橋市でも10年間の間に7件の新規開業がありました。

 私の場合もそうですが、獣医師の親は一般のサラリーマン家庭であることも多く、開業資金のバックアップもあまり頼ることができません。

 医療機器や設備を抑えての開業は堅実で良いと思うのですが周りとの競争に勝ち残るためにはある程度の医療機器は必要になります。これからの新規開業はますます大変なのだと思います。