猫の便秘症(巨大結腸症)の治療法【獣医師監修】
あなたの猫ちゃんは毎日快便でしょうか?トイレで砂をかく音はするのに出てない・・・していませんか?
時々冗談で猫ちゃんと女性の方は便秘が多いんですよなんて話をするのですが、猫ちゃんは骨盤の構造上、他の動物より便秘が起こりやすいことがわかっています。
当院の患者さんたちも、よくよくお話を聞いてみると2~3日に1回しか便はしないというような猫ちゃんが結構いるようです。猫ちゃんがトイレを我慢してしまうような理由が無いようにしたいものですが、トイレのお掃除がサボり気味だったり、同居人(猫ちゃんや飼主さん)の気配でゆっくりトイレができなかったりを繰り返しているとこの病気になってしまうことがあります。また、保護する前の幼少期に骨盤の骨折があったのをそのまま気付かずに大きくなったりしているケースも時々あります。
そのような便秘が繰り返されると、便を貯めている大腸(結腸)が麻痺して、便が貯まっているのに催さなかったり、自力で排泄できないような多量の便が貯まってしまいます。治療にはお薬や食事などの内科療法、あるいは、内科療法に反応が乏しい場合の外科手術があります。
内科療法による治療
①食物繊維の多い便秘用療法食の給餌②便を柔らかくして排泄させやすくする便軟化剤③腸の蠕動運動を促進して、排便を助けるお薬④生活習慣の見直し(トイレのケアや十分な水分補給)などがあります。⑤ラキサトーンなどの毛玉用サプリで便を排泄しやすくする。
特に、食餌療法は重要でロイヤルカナンの消化器サポート(可溶性繊維)が発売されてからは多くの便秘症の猫ちゃんが救われました。非常におすすめです。
外科療法による治療
これらの内科療法を行っているにも関らず、病院での浣腸治療を繰り返し行わなくてはならないような場合には、当院では機能しなくなった結腸を摘出する『サブトータル結腸切除術』という手術を行い、猫ちゃんの苦痛を和らげてあげられるよう努力しております。
便が出なくてトイレで吐いている猫ちゃんを見るのも辛いですが、具合の悪くなっている猫ちゃんに浣腸の処置を行うのも、獣医師としてかなりのストレスとなります。はっきり言って私の一番嫌いな処置です。
一日も早く、便秘で苦しんでいる猫ちゃんを楽にできたらと考えています。悩まずにご相談ください。
大腸内の多量の便
便秘の猫ちゃんのレントゲン写真です。お腹を触るとコチコチの石ころのようになった便に触ります。
切除した結腸
手術により摘出した結腸です。繰り返す便秘で伸びてしまっている為、本来の機能をはたしていませんでした。
手術によりつないだ腸
手術により正常な小腸と切り取った大腸の端を縫合します。あとは、便秘が解消されるのを祈るばかりです。