猫の糖尿病の治療【糖尿病の獣医師監修】

ペット保険のアニコムの統計によると、10歳以上の1.1%の猫ちゃんが糖尿病に罹患しているそうです。糖尿病はインスリンが十分に働かないために、血液中を流れるブドウ糖という糖分(血糖)が増えてしまう病気です。インスリンは胃の裏側にある膵臓という臓器から分泌されるホルモンで、血糖値を一定の範囲におさめる働きを担っています。2型糖尿病のあおぞら院長が得意な分野です(汗)。

糖尿病の症状

猫の糖尿病の症状には以下のようなものがあります
・多飲多尿…のどが渇くのでたくさん水を飲んで多量の尿をします。
・食欲があって食べているのにどんどん痩せてきた。
・後ろ足に力が入らない。かかとをついてウサギのように歩く。
・食欲がなくなって吐いてばかりいる。元気がない。

糖尿病の診断

多飲多尿の相談を受けることで腎臓病か糖尿病かを疑いますが、血液検査と尿検査で総合的に判断します。猫ちゃんは一時的な興奮やストレスで糖尿病以外でも血糖値が300ほどに上がってしまうことがあります。一過性の高血糖と真の糖尿病を振り分けるために、フルクトサミンや糖化アルブミンといった2週間ほどの平均的な血糖値を予測できる検査を実施したり、複数回の血液検査や尿検査が必要になる場合もあります。
同時に、インスリンを作る膵臓の炎症(膵炎)から糖尿病を悪化させている場合もありますので、膵炎の診断も行う場合があります。

糖尿病性ケトアシドーシスは危険な状態です。

 インスリンが不足し、ブドウ糖をエネルギーとして利用できない状態が続くと致死率の高い命に係わる重大な合併症(糖尿病性ケトアシドーシス)が起こることがあります。ブドウ糖を利用できないと緊急事態として脂肪をエネルギー源として利用し始め、ケトン体という物質が血液中に増え、血液が酸性に傾き(アシドーシス)、高度の脱水状態になります。一度発症してしまうと入院での水分の点滴と静脈からのインスリン点滴が必要になります。対応が遅れると、助けられないこともありますので速やかに治療を受けることが大切です。

猫の糖尿病治療の実際

一度発症してしまったら、インスリンの注射が必要不可欠です。通常1日に2回の注射を生涯にわたって行うことになります。非常に大変な負担が飼い主にかかるのですが、インスリンの注射さえ行ってあげることができれば人間同様に寿命を全うすることができます。
はじめは自宅で注射をうつなんて怖くてできないとショックを受けるでしょう。諦めて治療を拒絶したくなるかもしれません。しかし、猫ちゃんは人間より数倍痛みに鈍感です。また、インスリン注射の針は人間のお子さんが使う針の太さと同じです。ほとんど~全く猫ちゃんは気が付かないうちに注射が済んでしまいます。
初回から注射をうてるオーナー様もいらっしゃいますが、2~3回レクチャーさせていただければほとんどの方が上手に注射をうってあげられるようになります。猫ちゃんの為に頑張ってみませんか。あおぞら動物病院が全力で応援いたします。

糖尿病の食事療法

2型糖尿病の院長も頑張って実践していますが、猫ちゃんも食餌療法と運動療法は大切です。猫ちゃんに運動させるのはワンちゃんのように散歩ができないので室内での運動になりますが、時々できる範囲で猫じゃらしやおもちゃを投げてあげたりして遊んであげてください。
食餌療法はロイヤルカナンとヒルズからそれぞれ『糖コントロール』、『m/d』という製品が猫ちゃんの糖尿病療法食として製品化されています。高たんぱく・低炭水化物のまさに人間の糖質制限ダイエットですが、好んで食べてくれるようでしたらおすすめのフードです。

急に痩せてきたら要注意

猫の糖尿病 体重減少 食欲あり

太っていた猫ちゃんが食欲は普段以上にあるのに、数か月間に1㎏以上痩せてしまうことも珍しくありません。猫ちゃんがお水を多量に飲んだり尿量が増えている場合は糖尿病や腎臓病が疑われます。

様々な注射用インスリン製剤

猫の糖尿病 インスリン プロジンク

人間用のインスリン製剤を猫ちゃんの治療に応用していましたが、2017年に猫専用のインスリン製剤『プロジンク』が国内に登場しました。実際にはこのプロジンクだけでは対応できないため、人間用のインスリン製剤(ランタスやレベミルなど)も使われています。

一日の血糖値の変動が100~300㎎/dlくらいの範囲であれば快適に過ごさせることができます。

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