犬のアレルギー性皮膚炎について【獣医師監修】

2019年01月11日

犬の皮膚病にはどんな原因がある?

日常の診療で目にする機会が多いのが皮膚病です。

ワンちゃんたちの皮膚病では、大きく分けて
①ノミ・ダニなどの寄生虫性皮膚炎
②細菌感染による細菌性皮膚炎
③カビによる真菌性皮膚炎
④内分泌異常(ホルモン性)
⑤アレルギー性皮膚炎に分類されます

なかでも近年多いのがアレルギー性皮膚炎です。

ノミが原因のノミアレルギー性皮膚炎や食物が原因になる食物アレルギー性皮膚炎、環境中のアレルゲンに反応するアトピー性皮膚炎が多くみられます。

アトピー性皮膚炎って何?

アレルギー性皮膚炎の中でノミや食事に影響されない環境要因によるアレルギー性の皮膚炎を特にアトピー性皮膚炎と呼んでいます。食物のアレルギーを持っていることも多いですが、食物だけのアレルゲンの場合は食物アレルギー性皮膚炎と分類されます。

アレルギー性皮膚炎の症状は?

主な症状としては、顔や耳、足先、内股、脇、肛門付近などの皮膚が炎症を起こして赤くなり、痒みを伴って一日中「舐める」「咬じる」「引っ掻く」を繰り返します。また、50%以上の確率で外耳炎を発症します。

 

好発品種は、一位 シーズー、二位 柴犬、三位 ゴールデンレトリバーといわれていますが近年は人気犬種のトイプードルやチワワ、フレンチブルドックで多い印象です。

アレルギーを引き起こす原因は?

アレルギーの原因物質(アレルゲン)としてはハウスダストマイトと呼ばれるホコリの中のダニがトップで、陽性率50~80%。次いで、植物が40%、ストレージマイト(貯蔵フードに発生しやすいダニ)20%、ノミ14%などが続きます。
意外にも飼い主さんが一番気にされる食物アレルギーは13%程度と原因としてはそこまで高くないのですがアレルギー体質のワンちゃんは、原因が一つだけではなく、いろいろと組み合わさっている場合も多くみられます。

アレルギー性皮膚炎の治療・アレルギーは治るのか?

ワンちゃんでは、研究が進んでいるため様々な治療法が提唱されていますが、まず飼い主さんが頭に入れておかなければならないことは、「治る病気ではなく生涯うまく付き合っていく病気」だということです。
どういうことかと申しますと、このアレルギー性皮膚炎は体質・遺伝からくるものであるということ、そして多くは原因の回避が大変困難であることがあげられます。

この治療のために、しばしばステロイド剤が使われます。最近では「ステロイド」という言葉に過敏に反応してしまう方も多いですね。
正しい知識と使い方をしていれば、ステロイド剤の副作用は最低限に抑えることができます。もちろんこれは正しい使い方をした場合の話です。
しかし、若い子犬さんの時からステロイド剤を乱用するのはお勧めできません。当院では減感作療法をはじめ、アトピカ(シクロスポリン)やアポキルなどの最新治療のお手伝いも行っています。

アトピー性皮膚炎にあった保湿やバリアを作るシャンプーもいろいろと開発されていますので、シャンプー選びに迷ったらご相談ください。

QOL(Quality Of Life:生活の質)という言葉があります。慢性の病気は完治させることが難しく、患者さんが病気とつきあいながら質の高い生活を送ること。
そのために、ワンちゃんに一番合っている治療の選択肢を考えてあげてください。

あおぞら動物病院
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