犬の会陰(えいん)ヘルニアとは?【獣医師監修】

犬の会陰ヘルニア 便秘

去勢手術を受けていない中高齢のオス犬にみられる疾患です。無駄吠えが多いワンちゃんの方が腹圧が高くなるため発生が多いようです。
ワンちゃんの肛門の横あたりがだんだん腫れてきて、最終的に腸や膀胱が入り込んで排便や排尿が困難になる病気です。時間がたったものですと、肛門の左右に同時に重度のヘルニアが起きているケースもみられます。初期から中期は自覚症状もないため、ほとんどが排便困難になって発見されます。

診断

会陰ヘルニアの診断はレントゲン検査と直腸検査で行います。似ているものでは肛門嚢のガンもありますが、そちらは肛門に指を入れて行う直腸検査で鑑別が可能です。

会陰ヘルニアの治療・手術

構造的に穴が開いてしまっているヘルニアを塞いであげなければなりませんので、外科手術が必要になります。高齢犬で、心臓病や腎臓病などの持病があってどうしても麻酔がかけられない場合は、姑息的な治療にはなりますが、生涯にわたって便軟化剤と手による便の掻き出しが必要になることもあります。

手術後の再発が非常に多い病気なので、様々な術式が考案されています。現在ではどの方法がベストというはっきりとした指標が無いため、外科の有名な先生がそれぞれ一番再発しないと考える術式を紹介しています。

当院では再発率と合併症が最も低い治療法の一つと考えられている『内閉鎖筋転移術』と『直腸固定術』の2つの術式を組み合わせた方法を実施しています。腸の固定のために開腹手術とヘルニアの整復に肛門横の患部を同時に手術します。3時間ほどかかる大手術になりますが現在のところこの方法を行うことで、当院では再発例はありません。

会陰ヘルニアを予防するには

実はこの病気には最善の予防法があります。会陰ヘルニアの発生には男性ホルモンが大きくかかわっていると考えられています。その為、去勢手術を早期に実施することでこの病気の発生率を大きく減らすことができます。
会陰ヘルニアの手術は高齢でリスクの高いワンちゃんに実施しなければならないことに加えて2~3つの術式を組み合わせるため手術時間も3時間ほどかかる負担の大きな手術です。
若い元気な時期に去勢手術を行えば、ほんの10分程度で済むことなので、オスの子犬さんがいらっしゃった場合には1度は必ずご説明している病気です。将来の為に、ぜひご検討してみてください。

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