犬のフィラリア症(犬糸状虫症)と予防について

2019年01月11日

一昔前までワンちゃんの死亡原因としてナンバーワンだった病気です。ワンちゃんを飼っている方で知らない方はいないと思いますが、時々フェラリアとかフェニックスとか変な名前で憶えているオーナー様もいて笑いそうになってしまうことがあります。

フィラリア症とはどんな病気なの?

3年間予防を行わないと感染率80%といわれるフィラリア症とはどのような病気なのでしょうか。
フィラリアとは寄生虫の名前です。日本語では犬糸状虫(いぬしじょうちゅう)と言います。心臓に住みついて様々な障害を起こすそうめんの様な細長い虫です。長いもので28cmもあり、心臓に寄生すると血液の循環が悪くなって肝臓、腎臓、肺など多くの臓器に異常をきたします。特に、小型犬は心臓も小さいので、少数寄生でも重い障害を起こします。

フィラリアの発育環

  蚊がフィラリア感染犬から吸血するとミクロフィラリア(mf)と呼ばれる子虫が蚊の体内に取り込まれます。このミクロフィラリアは蚊の体内で成熟し感染力のある感染幼虫になると、吸血の際に新しい犬へと侵入します。感染後100日ほどで心臓や、肺の細い動脈へと移動します。そして、感染から6ヶ月ほど過ぎると、雌のフィラリア成虫がミクロフィラリアを産出するようになります。

フィラリア症の症状

こんな症状に注意してください。

①のどに何か詰まったものを出そうとするような苦しそうな咳をする。
②食欲がなくなり痩せてくる。
③散歩に行きたがらない。少し歩くとすぐ息が上がる。

また、次のような症状が出たら要注意です。

①お腹が異常に膨れてきた(腹水)
②口、目などの粘膜が白い(貧血)
③赤レンガ色の尿が出る(血色素尿)

フィラリア症の診断・検査

 夏を越したワンちゃんでは、予防を開始する前に必ず検査を受ける必要があります。予防薬には予防効果のほかに血液中のミクロフィラリアを駆除する作用もあるので、運悪くフィラリアに感染していた場合、ショックを起こして死亡させてしまう場合もあります。フィラリア用の検査キットに血液を垂らすと約10分ほどでフィラリアがいるかどうか判定ができます。

フィラリア予防について

 毎月1回お薬を飲むことで予防ができます。この予防薬は、蚊の吸血で侵入した感染幼虫が心臓にたどり着くまでに、完全に駆除するというものです。
予防期間は、蚊からの感染が始まって1ヵ月後から、感染が終わって1ヵ月後まで。途中で投薬をやめてしまったり、1ヶ月でも忘れたりしては、せっかくの投薬もムダになりかねません。関東地方では毎年5月~12月初旬までがフィラリア予防期間になります。

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参考記事:フィラリア・ノミダニ予防。今年はオールインワンが人気です。

フィラリア症の治療・急性フィラリア症

 不幸にもあなたの愛犬がフィラリアに感染してしまった場合、治療が必要になってきます。通常無症状な状態で見つかった場合は、副作用に注意しながら駆虫量のフィラリア薬を通年を通して投薬していきます。

 大静脈症候群(ベナケバシンドローム)と呼ばれる急性フィラリア症の症状が出てしまった場合は、緊急の手術が必要になります。突然の元気・食欲の消失、呼吸困難、血色素尿(レンガ色の尿)、重度の貧血、黄疸などが起こるため、気づかないでいると24~48時間で死亡してしまうことがあります。

 フィラリア症の治療には駆虫薬の副作用や、手術前の全身状態の悪さなどから多くのリスクを伴う場合が多く、完治が望めないばかりか、死亡させてしまうこともあります。フィラリアが感染しているということはすでに心臓や肺にダメージを受けているという状態です。
フィラリア症は予防が最重要だということを心に銘じておいてください。

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