フェレットの脱毛 副腎疾患とは【獣医師監修】

2019年01月10日

フェレットの飼主さんに最も知られている病気の一つが副腎腫瘍をはじめとする副腎疾患です。フェレットさんでは非常に多発する病気です。

副腎疾患の症状は?

典型的な症状として、尾を中心とする脱毛からはじまり、最終的には脱毛が全身的に広がります。
感染症でない為、通常は痒みを伴いませんが、非常に強い痒みを訴える個体もいます。

原因となるのは副腎と呼ばれる5~8㎜ほどの臓器で、左右に一つづつありますが、これが腫瘍化したり、異常に発達するとホルモンの異常により脱毛を中心とした異常が見られるようになります。

脱毛以外にもメスの場合は、陰部が大きくなったり、乳首が赤くはっきり目立つようになってきたりすることもあります。オスでは、前立腺に肥大や前立腺周囲のう胞が形成され、排尿が困難になることもあります。
筋肉が減って体重が減少したり、再生不良性貧血が起きることもあります。脾臓が異常に大きくなったり(脾腫)、すい臓の腫瘍(インスリノーマ)を併発することもあります。

副腎疾患の診断方法

同じようなフェレットさんの脱毛でも、季節的にシッポだけ脱毛する「季節性脱毛」というものもありますが、そちらはシッポ以外の脱毛が見られません。また、無治療でも数か月で自然に発毛が再開します。

副腎疾患での脱毛は同様に尾からはじまることが多いのですが、腰背部や下腹部の脱毛がみられることと、メスでの陰部の腫大や乳首が明瞭になってくることから鑑別が可能です。

負担の少ない超音波エコー検査で腫大した副腎が確認できればほぼ確定できます。性ホルモン等の血液検査での診断は費用に対する精度が低いため、当院では実施しておりません。

最終的にオーナー様の了承が取れましたら試験的治療としてリュープリンによる内科治療を行います。こちらで発毛が確認できれば副腎疾患による脱毛症と診断されます。

副腎疾患の治療法は?

治療には内科療法と外科療法があります。どちらを選択するかは年齢や全身状態、オーナー様の治療方法の希望で選択してもらいます。

内科療法として一番効果と安全性が認められているものは、リュープロレリン(商品名:リュープリン)という成分の注射薬で、一ヶ月に一度、フェレットさんによっては生涯にわたって治療が必要になります。この治療の一番の問題点は、非常に高価な薬だということです。病院によって1回の注射代も数千円~数万円と幅があります。当院では1回の注射が8,500円ですが、これを1か月おき3回で良好にコントロールできている印象です。

1回目の注射で発毛が見られる場合がりますが、即効性のあるお薬ではないため、発毛の効果は2回目の注射をしたころから認められることが多いです。他にもメラトニンというサプリメントも多少の効果はありますが、リュープリンほどの効果は期待できませんでした。

外科療法では、異常を起こしている副腎を手術で摘出します。右の副腎は大静脈に接している為、完全摘出は非常に危険を伴いますので、両側に異常がある場合でも、左の副腎の摘出が行われるケースが多いです。

幸い、多くのケースでは左副腎に異常が認められます。通常は、手術後1~2ヶ月以内に脱毛や外陰部・前立腺の異常が改善していきます。

当院では内科治療を選ばれるオーナー様が多いようですが、ご希望により左の副腎であれば外科治療の選択も可能です。都内のエキゾチック専門の動物病院をご紹介することもあります。

お気軽にご相談ください。

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