フェレットのインスリノーマと低血糖【獣医師監修】

2019年01月10日

 当院に来院するフェレットさんの病気で副腎疾患の次に多く見られるのがインスリノーマといわれる膵臓(すいぞう)の腫瘍です。
この腫瘍によりインスリン(血糖値を下げるホルモン)が必要以上に分泌されると命に関わるような低血糖を起こします。3歳以上のフェレットに多いため、副腎疾患やリンパ腫などが併発しているケースもあります。

インスリノーマの症状は?

この病気の症状は主に低血糖によるものですが、一般に
ヨダレをたらす
吐き気をもよおす
後肢に力が入らない
体重が減ってくる
ぼーっとして活気が無い
痙攣やひきつけを起こす

また、極端な低血糖になると昏睡状態や痙攣を起こし死に至ります。

空腹時の特徴的な症状(低血糖)、空腹時の血糖値(60mg/dl以下)とインスリン濃度(通常正常値より高い)からほぼ診断可能です。

インスリノーマの治療法は?

内科療法と手術による治療がありますが、原因が膵臓の腫瘍であるため、残念なことにどちらの治療法でも完治する病気ではありません。適切な治療によりいかに余生を快適に過ごせるかということが目的となります。

内科療法には主に2種類のお薬を一日2回飲み続ける必要があります。一つはステロイド剤やプレドニゾロンといわれる合成副腎皮質ホルモンですが、幸い人間のように重い副作用は現れにくい動物です。このお薬で血糖値をコントロールできない場合はジアゾキサイドというお薬を併用します。このお薬の主な作用はインスリンの分泌を制限することにあります。
残念なことにこのジアゾキサイドというお薬は日本国内では、入手が困難であることと、費用は他のお薬と比べるとやや高額になります。

外科手術は、膵臓の腫瘍を適出しますが、低血糖になりやすい状態であることや高齢であることから、必ずしも安全性の高い手術ではありません。しかし、手術後の平均生存期間は1年~1年半と内科療法の倍近く余生を伸ばすことができるようです。
また、手術後に内科療法を併用した場合の平均生存期間は2年以上という研究結果もあります。

自宅でできる体調管理

日頃から低血糖を起こしやすい状態ですので、お薬は忘れずに投薬するようにしてください。高蛋白のフェレットフードをこまめに与えるようにして、食欲不振や体調不良に早めに気が付いてあげることが大切です。

飲み水のボトルにブドウ糖などの糖分を混ぜて飲ませる方法は、通常時にインスリンが多く分泌されるため低血糖のリスクがより高まる恐れがあります。

低血糖の発作が見られた場合には緊急用のブドウ糖液が手元のない場合には砂糖水やハチミツを口に含ませて、早期に流動食などを与えるようにしてください。緊急時のブドウ糖セットは当院でも処方しております。

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