フェレットの肥満細胞腫(ひまんさいぼうしゅ)
フェレットの皮膚にできた皮膚炎がお薬で治療してもなかなか治らない場合、この腫瘍の可能性があります。。大きさもそれほど大きくならないことが多いので、1年くらい様子を見ている飼い主様もいらっしゃいます。時々ひっかいて血が出るなどの相談を受けます。
フェレットの肥満細胞腫とは?
肥満(ひまん)細胞とは炎症や免疫反応などの生体防御機構に重要な役割を持つ細胞で、肥満が気になる脂肪細胞とは全く関係ありません。この肥満細胞が増殖してできた腫瘍を肥満細胞腫と呼びます。
人間ではほとんどみられることがない稀な疾患のようですが、犬猫やフェレットでは比較的良くみられる皮膚腫瘍です。犬では極めて悪性度が高いがんに分類されますが、猫とフェレットでは良性に近い経過をたどることがあります。時に多数発生します。
フェレットの肥満細胞腫の症状は?
大抵は数ミリの赤いしこりが皮膚のどこかで発生します。痒がってひっかく場合が多いですが、傷をつけると普通の傷より出血が止まりにくいことがあります。アレルギーに関連するヒスタミンという物質を分泌するので、余計に赤くなったり痒みが増したりします。出血した血液の黒くなったカサブタがしこりの周りの毛に付着していたりします。
ステロイドを配合した外用薬で一時的に炎症を抑えることができますが、腫瘍ですのでそれだけで完治することはありません。
フェレットの肥満細胞腫の診断は?
しこりに細い針を刺して細胞を採取する細胞診という検査で、特徴的な顆粒を持つ肥満細胞が大量に採取出来たら診断になります。画像の細胞は紫色に染まるたくさんの顆粒(つぶつぶ)が見られます。
フェレットの肥満細胞腫の治療は?
腫瘍であるため、外科手術で摘出しなければ治すことはできません。副腎皮質ホルモン(ステロイド)を配合している外用薬でも対処療法としては症状を和らげることが可能ですが、お薬だけでは完治することはありません。
犬の場合は、悪性度の高いガンとして知られていますので、しこりが数ミリだとしても縦・横・奥行に対して2cmのマージンを取って切除するよう推奨されています。
フェレットでこのマージンを取ろうとすると皮膚移植が必要になってしまうのですが、幸いなことに同じ名前の腫瘍でも良性腫瘍のような動向を示す腫瘍なので、皮膚が縫合できる可能な範囲で切除することがほとんどです。
皮膚病と勘違いして、長期に外用薬を使用しているケースも時折見られます。フェレットさんはあまり皮膚が伸びないため、大きくなると摘出後の皮膚縫合が難しくなりますので、できるだけ早めにご相談いただけたらと思います。