犬の心臓病外科手術は世界一だった。心臓病を手術で治す。

心臓病 動物病院 船橋

 横浜に犬猫の心臓病手術で世界の5本指に入るであろう先生がいらっしゃいます。上地正実(うえちまさみ)先生です。先日、その先生が院長を務めるJASMINE(ジャスミン)どうぶつ循環器病センターの水野 祐先生からいろいろとお話を聞くことができました。

 上地先生は私が学生の時に母校で講師をされていたので、内科学の授業で何度か講義を受ける機会がありました。その時には、まさかこれほど有名な先生になるとは思ってもいなかったのですが、20年以上複数の獣医大学で研究・治療に当たられて今では世界中から先生の腕を頼って心臓病手術を受けにいらっしゃるまでにになったとのことです。

小型犬に一番多い心臓病は?

  心臓は全身に血液を送るポンプの働きをしています。そのポンプの中には4つの部屋があり、それぞれ血液が逆流しないように弁という仕切りがついています。チワワやマルチーズなどの小型犬に多いのは、この弁の一つの僧帽弁(そうぼうべん)というフタがうまく閉じなくなる僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)という心臓病です。キャバリアでは、遺伝的にこの病気が多く発生します。非常によく見られる病態なので、心臓病として治療を受けているあなたのワンちゃんもほとんどがこの僧帽弁の異常による心臓病です。

僧帽弁閉鎖不全症の治療は?

大きく分けてお薬による内科治療と、手術による外科治療があります。内科治療では1~数種類のお薬を生涯飲み続けることがほとんどです。内服をしていても時間とともに心臓は悪化していくため、原則お薬を飲んでも治ることはありませんが、後述する外科治療と比べるとリスクや費用の面では優れているため、ほとんどのワンちゃんではこちらが選択されます。

 内科治療で限界を迎えると、肺に水がたまる「肺水腫」といいう状態になり、呼吸ができなくなってしまいます。肺水腫発生後の内科治療での一年生存率は46%と、半数以上のワンちゃんが1年頑張れずに亡くなってしまいます。

 心臓外科手術は、特殊な設備(人間と同じ人工心肺装置や特殊な手術器具)と熟練の技術がないと行うことができません。日本でこの腕を持った獣医師は数名しかいないとみられています。施術費用も200万円以上かかることもあり、行っている施設も全国に数件しかないため、まだまだハードルが高い治療法になります。

手術の成功率は施設によりますが、横浜のJASMINEどうぶつ循環器病センターでは僧帽弁修復術では退院後3か月までの生存率は90%と、かなり高い水準にあります。100%でないことは残念ですが、人間の体重60㎏に対して、体重1.5キロに満たない重度の心臓病のチワワさんなどでも成功しているようなので、ヒトと比べてしまうのはナンセンスかもしれません。

 無事手術が成功すれば、1年後の生存率は46→85%まで改善し、術前の投薬していたお薬も完全に中止~2種類程度に減らすことが可能になります。

どうしたら心臓手術を受けられますか?

 当院の患者様でしたら、獣医師に相談していただければセカンドオピニオンとしてJASMINEどうぶつ循環器病センターを紹介させていただきます。

 今までの治療経緯を記録した紹介状やレントゲンデータなども作成いたします。最先端の治療が選べるようになったのは幸せなことなのか、ペットには過剰な医療なのかは私には答えられませんが、相談に乗ることができます。どうぞお気軽にお声をかけていただけたらと思います。

 JASMINE(ジャスミン)どうぶつ循環器病センターの水野 祐先生は大学の後輩でもありますが、今後も何度かセミナーで講演していただく予定です。新しい情報が入りましたらまたホームページでも連絡させていただきます。