猫の血尿・膀胱炎・尿石症の原因と治療を解説【獣医師監修】

2019年01月11日

ちゃんと暮らしていく上で、普段から特に注意していただきたいのが毎日のトイレの観察です。猫ちゃんがいつもより頻繁にトイレに行く(頻尿)、トイレで座り込む時間がいつもよりずいぶん長い、トイレ以外で粗相をしてしまうなどの様子はありませんか?

猫の膀胱炎が起こる原因

 猫の膀胱炎や尿石症などの泌尿器疾患をまとめて猫の泌尿器症候群(FUS)と呼んでいます。FUSは、細菌感染や砂粒状物質(結晶や細胞屑などの成分)、結石(ストルバイト・シュウ酸カルシウムなど)によるものが主原因と考えられていました。

 

 最近では、はっきりとした原因が特定できない特発性(とくはつせい)膀胱炎が多いことがわかってきました。環境要因やストレスによる影響が考えられています。もちろん、尿検査で異常な量の尿石や細菌がみられる場合もあります。

 FUSを誘発する要因としては、排尿の回避(トイレの汚れなどで)・肥満・運動不足・飲水量の減少→排尿の減少(冬期など)・食物中のMgやCa過剰などが分かっています。

膀胱炎の症状

●排尿回数または排尿動作が多くなった。
●排尿動作をしてもなかなか尿が出ない。
●あちこちで排尿する。
●排尿時に痛みを訴える。
●尿がポタポタと落ちる。
●オシッコに血が混じる。
●全く尿が出ない。
●元気・食欲低下、嘔吐などがみられる。

膀胱炎に有効な治療法

 尿路閉塞を起こしているのなら、一刻も早く強制的に排尿させてあげなくてはなりません。それには、尿道カテーテルと呼ばれる管を尿道に挿入したり、エコーで膀胱を確認しながら直接お腹に注射針を刺して尿を排泄します。

 レントゲン検査で膀胱や尿道に結石が詰まっているのを確認した場合は、手術をして石を取り出さなければならない場合もあります。尿毒症になってしまっている場合は、緊急に静脈点滴を流さなくてはなりません。

 血尿や頻尿などの初期の膀胱炎の症状だけであれば、積極的な水分補給や抗生剤、消炎剤、止血剤等の治療で済むこともありますが、尿石が認められる場合は並行して尿石溶解用の療法食による食餌管理も必要となります。療法食には、尿石を溶かすものや尿石の再発を防ぐための専用のフードがありますので獣医師とよく相談して適切なものを与えるようにしましょう。

泌尿器症候群を防ぐ予防

 予防には適度に運動させて、常時新鮮な飲み水を用意し、食事を制限して肥満を防ぐことが必要です。また、トイレはいつも清潔にして排尿を我慢させないようにしましょう。食事は水分摂取の観点からドライフードだけでなくウェットフードも積極的に与えることが大切です。

 この病気の厄介な問題に、再発率が非常に高いことが上げられます。一度FUSにかかった猫ちゃんは、すっかり治ったと安心したころにまた再発を繰り返すことがよくあります。特に尿石症の場合、療法食を与えなくなると50%近くがFUSを再発します。
冒頭にもありましたが、一番大切なのは飼主さんの日頃の観察(注意力)です。猫ちゃんは言葉を話せません。病院に連れて行ったころには手遅れだったなんてことにならないよう、普段から愛情を持って見守ってあげてください。

花王の猫用トイレとパラパラ漫画で有名な鉄拳さんのコラボ動画がすごく素敵です。お時間がありましたらご覧になってみてください。

花王 ニャンとも 小さな便り、大きな便り。

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