犬の表皮嚢胞(ひょうひのうほう)、粉瘤、イボ、できもの

2019年01月11日

表皮嚢胞ってなに?ガンではないの?

中~高齢のワンちゃんに非常によく見られる皮膚のしこりです。数ミリ~数センチと時間とともに大きくなっていく傾向がありますが、最大5センチほどになると薄くなった皮膚から破裂して黄色みがかった灰色の内容物が出てくることがあります。多発する傾向があり、1頭に数個同時に発生しているケースも時折見られます。千葉県船橋市のあおぞら動物病院でも週に1~2件程度は遭遇しています。

人間でもアテローマと呼ばれる同様のしこりがありますが、日本皮膚科学会の解説では以下のように説明されています。基本的に良性の腫瘍に分類される出来物です。

アテローム(粉瘤・ふんりゅう、アテローマとも呼ばれます)とは、皮膚の下に袋状の構造物(嚢腫)ができ、本来皮膚から剥げ落ちるはずの垢(角質)と皮膚の脂(皮脂)が、剥げ落ちずに袋の中にたまってしまってできた腫瘍の総称です。

診断

 指で絞っただけでもしこりの中央部からニキビが潰れるようにペースト状の老廃物が出てくることもあります。当院では比較的頻繁に遭遇するため、見た目と触診である程度予測することが可能です。

 実際には、細い注射針を刺して内容物を検査する細胞診という検査で確定診断を行います。針を刺した穴からニキビの脂肪のような老廃物が排出されます。顕微鏡で確認すると、ほとんどが皮膚のフケと同じような角化物や脂で構成されています。炎症を起こしていなければ、あまり生きている細胞は採取されません。診断は比較的容易です。

無麻酔~局所麻酔での治療法

 本人が気にしていない場合が多いのですが、感染や炎症を起こすと化膿して赤くなって痛みを伴う場合があります。

また、自然に破裂してペースト状の内容物が出てきたりもします。自然に破けてしまった場合は、炎症により痛みを伴っているケースが多いです。

 1㎝以上に大きくなったり、本人が気にするようでしたら積極的な治療が必要になりますが、小さなものでしたら細胞診の検査時に表皮嚢胞の袋ごと絞り出してしまってそのまま治療終了になるケースが多々あります。局所麻酔も縫合も特にいりません。

 化膿したものや大きなものでなければ、無麻酔~局所麻酔で治療可能なので、診断がついていれば大げさに全身麻酔で外科手術にする必要もないかと思っております。出来やすいワンちゃんは度々発生するので、その都度全身麻酔ではきりがありませんし。

 針を刺した穴から内容物を絞り出す応急治療で治めることができますが、本来は内部の膜状の構造物をはがして取らないと再発します。

 ヒトでは局所麻酔でのくりぬき法(小さな切開創から袋をくりぬく)という術式を取る場合が多いようです。あおぞら動物病院でも再発性のものや大きなものでは局所麻酔下での治療をお勧めしています。

表皮嚢胞の原因、予防法は?

残念ながら表皮嚢胞(粉瘤)の原因は解明されていません(人でも)ので、予防法というものもありません。

多発する個体では継続的に発生するため、できやすい体質があるのは間違いないと思われます。犬種的にはシーズー、ミニチュア・シュナウザーに多いようですが、様々な犬種に発生している印象です。

いずれにしろ、皮膚にデキモノを発見したら、早めに動物病院にご相談ください。船橋市にあるあおぞら動物病院では今回の表皮嚢胞のように簡単な処置や、ワイヤー結紮治療(医療用のステンレス糸でイボの根元を縛る)、イボのレーザー蒸散治療など全身麻酔なしでイボを取る治療も頻繁に行っております。

あおぞら動物病院
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