ウサギの血尿|尿石症(砂尿症)と赤色尿

2019年01月10日

ウサギの尿は多量のカルシウムを含んでいるため、正常でもやや白く濁っています。色も黄色~オレンジ色に見える尿をしますが、一見血尿ではないかと思うほど赤い色の尿が出ることがあります。

うさぎの砂尿症(さにょうしょう)とは?

うさぎはカルシウムの多い尿を排泄するため、必要以上にカルシウムの多い食材を摂取してしまうと膀胱結石や砂尿症(泥のような砂混じりの尿を排泄する)などの泌尿器系の疾患が起こりやすくなります。特に、成長期用の牧草として嗜好性と栄養価の高いアルファルファ牧草はカルシウム含有量がチモシー牧草に比べて高いため、成長期を過ぎてのアルファルファ牧草の給餌は制限する必要があります。チモシーに比べてアルファルファには2~3倍程度のカルシウムが含まれています。

病気の予防として、カルシウムを適切に制限する他に水分摂取量を増やして尿量を多くすることも大切です。水分を多く取らせるためには、ケージの外に出して運動させる必要があります。また、生野菜を適量取らせることも有効ですが、カルシウムが多い生野菜を与えすぎるのも問題になる場合があります。
特に、カルシウム分が多い生野菜としてパセリ(290mg)、大根の葉(220mg)、水菜(210mg)、小松菜(170mg)など。また、ホウレンソウはカルシウムは多くない(49mg)のですが、シュウ酸という成分(生のホウレンソウのアクやエグミの原因)がたくさん含まれているため、結石の要因になります。

変わったものでは低カルピュアウォーターというカルシウム濃度が水道水の1/20というペット用の飲料水も販売されています。

病的な尿石症になると、レントゲンの撮影で膀胱の輪郭がはっきりと骨のように白く写ったり、手で触ったときの膀胱が粘土のような触感になります。また、黄土色の泥のような尿を排泄するため、尿道の周りの毛や皮膚に付着して、皮膚炎を起こすことがあります。あまりに水分が少ない尿なので、下痢と勘違いされる方もいらっしゃいます。

そのような尿の状態による病態を砂尿(さにょう)症といいますが、食事や水分摂取を改善する他に、定期的な圧迫排尿(お腹を手で圧迫して強制的に排尿させる)の必要があります。
過去に数例、発見が遅れたために、自分で排尿することができないくなる膀胱麻痺(ぼうこうまひ:膀胱アトニー)を起こしてしまった不幸なウサギさんもいらっしゃいます。

血尿?赤い赤色尿の原因は?

赤色尿ですが、尿中にポルフィリンという色素が排泄されるために、赤く見える尿が出来上がります。赤く見えるだけで血液の成分(赤血球など)は含まれていません。実際の病気での血尿の場合、尿試験紙や顕微鏡での観察で赤血球が検出されます。
どのような理由でポルフィリン尿が出てくるかという原因については、はっきりわかっていないようですが、抗生物質の内服中や急に寒くなった日、ニンジンなどに含まれるβカロテンの摂取などが原因で出るのではないかといわれています。

尿試験紙があれば、自宅でも簡単に血尿か赤色尿かどうかの判断が可能なため、当院でも飼主様にお渡ししています。血尿の場合は試験紙が1分以内に(多くは数秒で)黄色→緑色に変化します。
もし反応が見られた場合は、オスうさぎの場合は膀胱炎や尿石症、メスうさぎの場合は子宮疾患の可能性が高いため、すぐに来院いただくようお話しております。

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