うさぎの血尿|子宮がんの治療について【獣医師監修】

2019年01月11日

齢のメスウサギで子宮がん(子宮腺癌)が非常に多くみられます。米国のHRS(House Rabbit Society)の報告によると、6歳以上の雌ウサギで、実に50%以上の発生率があると報告されています(すなわち、メスのウサギさんの半分はガンで亡くなるという考えもできます)。

血尿が出た。それは本当の血尿?

ウサギさんは生理的に赤く見える血尿のようなオシッコをすることがあります。生理的赤色尿といわれています。詳しくは以下のコラムでも紹介しています。

参照記事:うさぎの血尿|尿石症(砂尿症)と赤色尿

ウサギ以外の動物で血尿をした場合、ほとんどが膀胱炎を原因とする膀胱からの出血による血尿ですので原因により抗生物質や消炎剤の治療、尿石を溶かす食餌療法などで治療します。

しかし、3歳以上のメスウサギが血尿をした場合、当院では9割以上の確立で子宮の病気が見つかっていますので膀胱炎の治療では治りません。

膀胱炎の場合、頻尿(少量頻回の排尿行為)やお尻を持ち上げた排尿姿勢のままじっと動かない等の独特の症状が見られることが多いのに対して、子宮疾患の場合は排尿時に膣に貯まった血液が洗い流されて出てくるだけなので、排尿行動はいつもと変わらないことがほとんどです。

発症時には、軽度な血尿しか見られないこともあり、膀胱炎の治療として抗生物質や止血剤で経過を長引かせてしまうケースも見られます。また、転移もしやすく、肺に転移を起こすと呼吸困難を起こし、死の転帰を迎える非常に恐ろしい病気です。

高齢での発生が多いことから、雄のウサギさんに比べて雌のウサギさんのほうが短命だとも言われています。

子宮がんの治療法・予防法は?

病気になってからの手術では、高齢での手術になることや貧血などで全身状態の悪いことが多い為、麻酔の覚醒が悪く、出血も多くなり手術のリスクが非常に高くなる傾向があります。実際、手術前の術前検査で重度の貧血や肺転移が見つかって手術を断念するケースもたびたび遭遇します。

ウサギさんに行っている定期的な健康診断では、下腹部の触診により異常な子宮を発見できることもあります。当院ではウサギさんの爪きりの来院時にも必ず腹部のチェックをするようにしています。中年以降のウサギさんには血尿が出ていないか飼い主さんに問診も行っています。

また、もし出産を考えないのであれば、できれば早期(8ヶ月~1歳半くらいまで)に避妊手術を行うことが、最善の予防になると考えられています。当院では若い時期の避妊手術は負担と麻酔時間の少ない卵巣摘出手術をお勧めしています。

あおぞら動物病院
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