ウサギのスナッフル(クシャミ・鼻水)とは【獣医師監修】
うさぎのスナッフルとは?
スナッフルはウサギさんの呼吸器疾患としては珍しくない細菌感染症です。鼻炎や気管支炎など呼吸器疾患にかかることで、主にクシャミや膿性の鼻汁などがみられ、このような症状を総称してウサギのスナッフルといいます。ペットショップから連れてきたばかりの抵抗力の弱い子ウサギやシニアのウサギに多くみられるときに命に係わる呼吸器感染症です。伝染力も強いため、同居のウサギに次々に感染してしまうケースがあります。
スナッフルを起こす原因
原因となる菌はいくつか知られていますが、パスツレラ菌(Pasteurella multocida)が発見されることが多いのです。その他にもボルデテラ菌や緑膿菌が原因になることもあります。
ウサギのスナッフルの症状
はじめはクシャミや膿性の鼻汁がみられることが多いですが、重度の鼻汁で鼻の穴が詰まったり、感染により肺炎などを合併すると食欲が急激に減少します。鼻水をぬぐうので前足の内側の毛がガビガビになったりします。特に体力のない仔ウサギや老ウサギでは治療が間に合わず亡くなってしまうこともあります。
スナッフルの治療と予防法
治療としては、まず飼育環境の再確認です。糞尿で汚れたケージでは治るものも直りません。また、気温は23~25℃前後(エアコンの設定ではなく温度計で測る)、湿度も50%前後に保つのが理想です。また、部屋の換気もまめに行ってください。
動物病院では状況に応じてレントゲン検査や鼻汁の培養検査をする場合があります。また、ウサギさんは抗生物質で下痢をすることもあるため、ウサギさんに安全性の高いといわれているニューキノロン系抗生物質やテトラサイクリン系抗生物質、クロラムフェニコールなどのを年齢や効果によって使い分けます。また、直接鼻に抗生物質の点鼻薬を投薬するのも非常に有効ですが、ちょっとしたテクニックが必要ですのでご相談ください。重度の呼吸困難を起こしている場合には酸素室に入ったり、蒸気でお薬を吸引するネブライザー治療も行います。
また、この病気の治療を難しくさせる要因として、原因菌を完全にいなくすることが難しいことが挙げられます。一度治ったように見えてもストレスで抵抗力が落ちた時に再発を繰り返します。ですので、1週間程度で治ったように見えても最低2週間から1か月以上にわたって治療をする必要があります。
せっかくおうちに迎え入れたばかりの仔ウサギさんが最悪命を落としてしまうこともある病気です。単純なクシャミだけでしたら、ホコリやペレットの粉末を吸い込んでしまっただけでも出ることがありますが、鼻汁がでたり食欲が減退するようでしたらできるだけ早く動物病院に連れて行ってあげてください。