ウサギの麻酔って怖い?

V-GEL ウサギ用麻酔

 

 像の器具はv-gelというウサギさんの全身麻酔時に気道を確保する専用の器具です。同様の器具で人間用では1本2,000円~で購入できますが、この器具は1本28,000円とかなり高価です。
 

 通常犬猫では人間と同様の気管チューブという気道に挿入する管を使用します。あるいは短時間の処置を行う場合には麻酔用のマスクで麻酔ガスをかがせることがあります。気管に送管できる気管チューブの方が呼吸のコントロールが行いやすく安全性が高まります。

動物病院での麻酔

 ウサギ場合はどうかというと、体が非常に小さいことと口を大きく開口させることが難しいため、気管チューブを挿管することは特殊な装置を使わない限りは非常に困難です。ですので、一般的には麻酔マスクでの麻酔管理が中心となっていました。このようなウサギさんの麻酔には問題があったので、この器具が必要となりました。

 まだ国内では2015年1月にアコマ医科工業から発売されたばかりで全国的に普及しているとは言えませんが、当院では海外から輸入して使用していました。 

 ウサギの全身麻酔は他の動物に比較して危険性が高いことが確認されています。2008年の英国で行われた調査ではウサギさんの術後1週間以内の死亡率は0.73%と報告されています(同調査で犬は0.05%)。
 原因と思われることは何点もありますが、例えば
   ・ウサギ専用の麻酔薬が無い・・・犬猫用や人体用の麻酔薬を流用しなければならない
   ・体が小さく、麻酔中に体温が低下しやすい。
   ・麻酔の深度(効き具合)が確認しにくい・・・結果他の動物より深い麻酔になりやすい。
   ・ストレスに弱い・・・恐怖や痛みのストレスによるアドレナリンショックによる突然死など。
   ・気道が確保しづらい。
 などが考えられますが、最後の気道確保がこの器具により格段に行いやすくなったため、当院での安全性もかなり高くなっていると考えられます。
 
 単純にウサギさんの麻酔が安全か?と問われれば、ウサギさんの診療が不得意の先生は過剰にリスクを強調するかもしれませんし、自院では事故が起きたことが無いと断言する先生がいればそれは運が良かっただけか麻酔の件数が少ないのかもしれません。
 
 不幸なことに麻酔のリスクと治療を行わないリスクを秤にかけなければならないシーンが日常的に発生しています。説明不足でトラブルも起こりやすいデリケートな問題なので、当院でもインフォームドコンセントの機会を増やすとともに、納得いくまで相談していただけたらと思います。