以前院長コラムで「一日一食健康法」の記事を投稿しました。検索サイトからのアクセス数が思いの他多かったので、改めて今回は人間ではなくペットの食事回数について検証してみたいと思います。ちなみに、あえてペットと書きましたが、通常動物関係のお仕事をしている関係者は、伴侶動物のことをペットとは呼びません。今回は、犬・猫・ウサギ・フェレット全般にまとめてお話したいのであえてペットというくくりにしました。
通常はわんちゃん、ねこちゃん、うさちゃん、フェレさん(?)などの呼び方をするケースが多いと思われます。やはり、動物好きのオーナー様は自分の家族をペットと呼ばれるのが嫌いな方が多いと感じます。同じような理由で、食事についても「犬のエサ」などの呼び方はせず、ゴハンとかフードとか御食事とかで表現します。大のオトナがちょっとキモイですか?そんな業界です。
またまた話が脱線しそうなので、本題に戻します。ネットで検索するとおおむね一日2回に分けて与えるケースが多いようです。ここで注意なのですが、ウサギとフェレットの場合は特殊なため、今回は犬猫の食事について考えたいと思います。
幼少期の子犬・子猫の場合は、一日3回以上与えるのが良いと思います。幼少期は非常に多くのカロリーを必要とするのですが、一食に摂取するフードの量が多量になりすぎると胃腸に負担をかける恐れがあります。また、絶食の時間が長いことで低血糖を起こす危険性があります。
成犬・成猫の場合ですが、本来のイヌ科・ネコ科動物の食事スタイルはどのようなものでしょうか。
動物園でのオオカミやライオンなどの肉食動物では、健康のために週に1~2日程度の絶食日があるそうです。自然界では、いつも獲物を捕まえることができるわけではありませんので、そのようなスタイルの方が体にも良いそうです。そのかわり、一度の食事でかなりの量を摂取して「食いだめ」が出来るそうです。運動量もペットの比ではないですよね。
運動不足になりがちなペットの場合はどうでしょう。
満腹感を感じる満腹中枢が人間に比べて鈍いのは間違いありません。それに加えて、一気食いや良く噛まずに丸飲みの習性、食いだめができる胃袋も持っているため、場合によってはキャパシティーを超えて吐くまで食べてしまったり、消化不良で下痢を起こしたりします。
最近のドックフードやキャットフードは、胃腸の負担や糞の量を減らすため、非常に消化吸収が良い優等生に仕上がっています。おかげで、体重は増えやすいのですが、胃の通過時間も早く空腹にもなりやすくなっています。ですので、食事間隔があきすぎると透明な胃液や黄色い胆汁を食前に吐いてしまったりすることがあります。
また、特に肥満猫の場合は、体のエネルギー要求量が多くなってしまっているため数日の絶食で重大な肝リピドーシス(脂肪肝)という死亡率の高い病気になってしまうことがあり、注意が必要です。
いろいろな情報を総括しますと、結論として一日の食事回数は2~3回を目安にすると良いと思われます。人間の私のように一日一食健康法(笑)にすることも可能ではありますが、犬猫では空腹による嘔吐や大型犬のドカ食いによる胃捻転・胃拡張などの発生要因になる可能性があります。また、病的な肥満あるいは糖尿病などで強制的なダイエットが必要な場合、ワンちゃんは1回の食事量より、頻回に食事をもらう方が満足感を得やすいため、一日6食にするようなダイエット法もあります。