【獣医師監修】犬の手作りごはんの落とし穴(ささみご飯)

手作りドックフードの盲点

 愛犬に手作り食を毎食作っている飼主様はどのくらいいらっしゃるのでしょうか。

近年、愛犬に手作りでご飯を作ってあげている熱心な飼主様も多くなっております。実際に、平成27年のペットフード協会の調査によりますと、手作り食を主食としているご家庭は、全体の約14%程度との報告があります。

しかし、手作り食の問題として、栄養バランスを維持し続ける難しさがあると思われます。

今回は、今や手作り食の定番となりつつあります、ささみ200g、白米100g、キャベツ20gで作ったささみご飯のレシピの栄養価を検討いたします。

ササミごはん ドックフード

上の表は、総合栄養食でも用いられております、栄養基準(A)とささみご飯(B)を比べ、(B)の(A)に対する充足率を表したものです。

 ささみご飯は、たんぱく質は十分にあるものの、脂肪が不足しており、カルシウムも不足していました! また、脂肪不足により、わんちゃんの必須脂肪酸(ごはんで摂取しなければならないもの)である、リノール酸が必要な量の3割以下しか摂取できず、脂溶性ビタミンも、ほぼ摂取出来ないことがわかりました。

このような栄養バランスの傾向は動物性たんぱく質中心のレシピ全般に見られます。もし、手作りささみご飯を与えていらっしゃいましたら、ぜひチェックしてみてください。

基本的に、人にとって良い食べ物が犬や猫に必ずしも良いとは限りません。人の食事とは別に、毎日、栄養のバランスと嗜好性を考えて作ってあげる必要があります。

ペットフードは見た目も味気なくて、お料理のお好きな方には寂しく感じてしまうかもしれませんが、犬猫に対しての栄養バランスの配慮はもちろんのことそれぞれの年齢や状態に合わせたケアを行うことができます。

面白いことに、食欲に対しての刺激も人間とは結構違います。人間では重要な料理の見栄えは動物たちには全く関係ないようです。匂いの刺激が最重要で、形や粒の大きさ、食感の次に味が関係しているそうです。良い匂いは重要です。

また、食餌療法として低脂肪な食事が必要な病気(犬の膵炎や肝臓病、高脂血症など)の場合に、ドックフードの半分をササミと白米で低脂肪食を作っていただくこともありますが、詳しくは動物病院の獣医師まで相談ください。