ウサギの不正咬合とは 【獣医師監修】

2019年01月11日

ウサギといえば誰でも思いつくのは長い耳と赤い目、長い前歯でしょうか。
ウサギさんのチャームポイントである立派な歯ですが、実は非常に病気になりやすい器官です。

ウサギには上下あわせて合計28本の歯があります。全てが生涯にわたって伸び続ける常生歯です。
特に、前歯(切歯)は1週間で3mmも伸びるので、異常が生じるとあっという間に伸びてしまいます。

不正咬合ってどんな病気?

普段見ることができないので気づきにくいのですが、奥歯(臼歯)も毎日少しずつ伸びています。その臼歯が正常に削れず、尖って伸びてしまうと、頬や舌を傷つけ食事を取ることができなくなってしまいます。
これらの歯の異常な咬み合わせから生じる病気を不正咬合(ふせいこうごう)といいます。放置すればするほど様々な合併症(膿瘍、鼻涙管障害、胃腸うっ滞など)を引き起こす非常に怖い病気です。

不正咬合が起きる原因

切歯の不正咬合の場合、遺伝性(ロップイヤーで多い)や外傷性(ケージをかじったり、顔面の打撲)による理由が多く、臼歯では遺伝性(ドワーフ系の小型ウサギで多い)の他に、食事が多く関係していると考えられています。

特に、繊維分の少ないペレットや野菜、おやつを多給することは臼歯のすり潰し運動(横方向にスライドする動き)が減り、正常な歯の磨耗が妨げられると考えられています。
一度異常な方向に伸びてしまった歯は、自然に矯正されることは稀で、固いものを食べなくなったとか、食事に興味はあるのに食べないとか、口の周りがいつも唾液で濡れているとか、そのような形で飼い主さんに発見されるますが、動物病院に来院したときには、生涯にわたっての治療が必要となってしまうケースが多く見られます。

不正咬合はどうやって見つけるの?

診断は、ウサギさんの診療に慣れた先生であれば、注意して口の中を覗けば殆ど発見することができます。ウサギさんが暴れて怪我をしないようにタオルで包んで、専用の器具でお口の中を覗くと頬や舌側に向かって伸びている異常な歯や、傷ついている部分を観察することが可能です。奥の方の臼歯だけに異常がある場合、全身麻酔をかけないと確認できない場合も時々あります。

不正咬合の治療法と予防法

治療は、切歯の場合、おとなしい子であれば、専用の切歯カッターで簡単にカットすることができます。通常麻酔は必要ありません。

おとなしいウサギさんや伸びている歯が前方の臼歯の場合は麻酔なしで処置することもありますが 臼歯の処置では通常全身麻酔が必要になります。ウサギさんのお口は非常に小さいため、奥歯を削るには大きく口を開く必要があるからです

幸い、口の中の痛みや伸びた切歯の煩わしさから開放されたウサギさんの多くは以前にも増して良く食べるようになります。きっと、よほどお腹を空かせていたのでしょう。

牧草を主食に与えたり、繊維分の多い良質のペレットを選んだり、ストレスをためてケージを咬んだりしないように予防をすることが重要です。
一度、かかりつけの動物病院で口の中をチェックしてもらってみてはいかがでしょう。

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