【動物病院監修】犬猫の本気ダイエット法(肥満は案外簡単に解消できる!?)

獣医師推奨 ダイエット方法 あおぞら動物病院

 ょっとくらいのぽっちゃりは犬猫にとってもかわいいものですが、病気予備軍の肥満や病気になった場合のダイエットは真剣に行わなければなりません。自分が糖尿病を発症していますので、調子に乗ってわんこそば150杯など二度とできなくなってしまいましたが、今回は犬猫のダイエットについてお話ししたいと思います。

 肥満を放置したままにしておくと、老化とともに糖尿病、肝臓病、心臓病、関節の病気などや、太った猫ちゃんの場合は肝リピドーシスといった命に係わる重病が起こりやすくなります。

 動物病院では、ワクチンや病気の来院のたびに体重を記録していますが、毎年順調に体重を増やしているワンニャンを発見します。人間同様に生活習慣病が心配になります。

 犬猫の体重はほぼ1才の年齢で安定するはずなのですが、運動不足や食べ過ぎ、去勢避妊手術や老化による基礎代謝の低下などにより肥満になりやすくなってしまいます。

 私が人間のお医者様から勧められたのは、運動とカロリー制限でしたが、動物の場合に運動量を大きく増やすことは難しいと思われます。特に、猫の場合は散歩もできませんから。運動不足を気にされる飼い主様が多いかもしれませんが、実際には食事のカロリーを管理した方がスムースにダイエットが実践できます。

 ワンちゃんや猫ちゃんが自分で冷蔵庫を開けてごはんを選ぶわけではないので、ペットの肥満は飼い主に100%原因があることになりますよね。それではどのように体重管理をしたら良いのでしょうか。

猫のダイエット 肥満

 基本的に一日当たりの摂取カロリーを減らせば必ず体重は減るはずなので、まず、今食べている一日分のフードから一日の総摂取カロリーを計算します。ペットフードの裏には必ず栄養成分と100g当たりのカロリーが記載されていますので、与えているご飯の量から現在の一日分のカロリーを出してみてください。

 そのカロリー量では体重は増えていってしまうか、現状維持が続いていますのでそのカロリーを何割か減らしてあげればよいのです。この際、ペットフードの袋に表示されている体重当たりの給餌量(g)は無視してください。表示されているのはあくまで平均的な量ですし、食品を作るペットフードメーカーの推奨量で痩せていってしまってはイメージダウンですから、書いてあるのはちょっと太ってしまうくらいの量が表記されていると思ってください。

 一般的には避妊や去勢手術をすると女性ホルモンや男性ホルモンが出ないことで基礎代謝が落ちてしまいます。大手フードメーカーのロイヤルカナンによると、避妊去勢後にはそれまでの30%カロリーオフする必要があるとのことです。すごいですね。

 量を減らしたらいいかというと、なかなかそう単純にはいきません。今まで食べていた量を減らされたことに気付いたワンちゃん猫ちゃんがご飯を出せと一日中アピールしたり、お腹が空き過ぎて胃液を戻したりするケースも見られます。

 そのような場合の獣医師からのアドバイスです。

その1 1回の食事を少なくしても回数でフォローする

 食事の回数を3食、4食、5食に分けることで、少量ずつでも空腹感を和らげることが可能です。

その2 カロリーの低いドライフードを探す

 例えば、ロイヤルカナンの満腹感サポートでは100gあたりのカロリーが犬用269kcal、猫用307kcalとかなりローカロリーです。今食べているフードと比べてみてください。

その3 あおぞら動物病院からのとっておき!

 勘違いされている方が多いのですが、ウェットフード(缶フード)は脂肪が多いわけでもカロリーが多いわけでもありません。とてもヘルシーな食品なのです。ドライフードに比べて見た目が人間の食べ物に近いせいか太りやすいのではと思い込んでいる方が多い印象ですが、ほとんどのウェットフードは水分の割合が80%近くあり、カロリーはドライフードのほぼ1/4~1/6しかなないダイエットには優秀な食品です。例えば犬用シーザー(絹ささみ)や猫用モンプチ(極上かつお)で50kcal/100gとかなりカロリーが低い食品です。これはウェットフードであればどの製品でもほとんど変わりがありません。

犬のダイエット法 動物病院

 ですので、お腹を空かせて可哀そうだからついつい与えてしまうのであれば、ドライフードを思い切って減らした分ウェットフードをたっぷり与えてもダイエットができるはずです(もちろんトータルのカロリーは制限してください)。

 それならば、いっそのことウェットフードだけ与えてみてはどうかとなるかもしれませんが、その場合は注意が必要です。まず、ウェットフードはもともとカロリーが少ないので、ある程度の量を食べさせないと必要な分のカロリーを大きく下回ってしまう可能性があります。

 また、ペットフードには『一般食』と『総合栄養食』の分類があります。そのペットフードにも必ず記載されています。おかずやおやつとして与えることを考えた栄養バランスの『一般食』だけでは栄養が偏ってしまうため、主食をウェットフードにする場合は『総合栄養食』を選ぶようにしてください。

 肥満が原因で起きてしまう病気になってしまったら、飼い主さんのも少なからず責任があるはずです。病気になってしまう前に食事管理などコントロールしてあげるのも飼い主としての愛情だと思います。なかには甲状腺の病気など努力しても痩せない病気の場合もありますので、体重管理に悩まれましたらどんどん獣医師に相談してください。真剣に対応いたします。