NHKの『プロフェッショナル~仕事の流儀~』という番組を好きでよく見ています。毎回ある仕事にスポットを当ててその道のプロフェッショナルの仕事への情熱を紹介する番組です。
昨日7月27日は大阪のとある町の獣医さんが紹介されていました。蓮岡元一先生(61)という獣医師の一日を紹介していたのですが、同業である私も非常に良い影響をもらいました。
規模的には小さな診療所といった動物病院ですが、待合室は患者さんでごった返し、1時間待ちは当たり前、中には3時間待ちになる場合もあるとのこと。関東から新幹線で訪れる患者様もいらっしゃるそうです。
先生も、自分の診療にしっかりとしたポリシーを持っていらっしゃるので、飼い主様にも時に厳しい発言もみられました。動物病院の口コミをみてみると大絶賛の方もいれば、先生の口の悪さ含めての最低評価も見られてなかなか万人に受け入れられるのは難しいんだと感じました。職人気質の先生のようです。
私はというと、サービスのつもりで待ち時間短縮のために、いろいろな設備を導入してみたり、スタッフの教育に力を入れてみたりとなんだか、小さな人間だなぁと溜息が出てしまいました。カリスマには程遠い・・・トホホ。
当院の診療を信頼してくださる飼い主様がたくさんいらっしゃることが私の仕事の生き甲斐でもあるんですが、このベテラン獣医師のように、周りの意見に影響されず、自分の道を突き進む獣医師にはまだまだほど遠いなぁと番組を見ていて思いました。
ややもすれば、少し自分の意見を通そうとする強引さもみられるような感じもありました。末期の治療で、飼主は自宅で看取ろうという考えだったのですが、往診に行って再度治療を行わせている姿は、人によっては迷惑に感じる方もいたのではないかと思いました。結局数日後に亡くなられたのですが、亡くなる前日に注射器で食事を食べさせている姿は少しやりすぎかなぁとも感じました。具合の悪い患者さんを何時間も待たせるのも、何か改善点は無いのかとも感じました。
それは、私の治療のスタイルとかなり距離がある診療だったので余計にそう感じただけなのかもしれません。
もう少し、私の診療も飼い主さんを導いてあげられる強引さも必要なのかもしれないと勤務医時代から時々思います。番組の先生は好き嫌いがはっきり分かれそうですが、ファンの方々にはとことん愛される先生なのではないかと思いました。
まだベテランには程遠い私ですが、日々迷いながらも動物と家族に寄り添える診療を行っていきたいと思います。
15歳の私の飼い猫が、老衰で日に日に衰えていくのがわかります。飼い主の立場として、何が必要でどうしたら幸せにできるかどうかを考えさせられる毎日です。
再放送が8月1日の深夜 午前0:55からあるようです。ぜひご覧になってみてください。