当院のウサギのオーナー様ならご存知だと思いますので、全国のウサギさんの飼い主様に対して情報発信したいと思います。
病気になってしまったウサギさんへの投薬は、非常に悩ましい問題です。ワンちゃんの場合、大好きなオヤツやウェットフードに混ぜることで比較的簡単に投薬できてしまうのですが、ウサギさんの場合はなかなか簡単にはいかないようです。シリンジ(針の付いていない注射器)と粉薬やシロップ剤を渡されて、おうちで飲ませてくださいねと処方されることが多いのではないでしょうか。
何もアドバイスなしに錠剤のお薬を処方されてしまうことは無いと思いますが、ネットの世界をのぞいてみると動物病院で処方されたお薬とウサギさんを前に頭を抱えてしまう飼主様も多いようです。
あおぞら流簡単投薬法
あえて、あおぞら流としたのは、他の動物病院の先生方があまりご存じない投薬方法だと思われるからなのです。ウサギさんの投薬方法に悩まれている先生がおられましたらぜひ試してみてください。当院にいらっしゃる患者様の5~6割程度は錠剤で内服を持っていかれています。もしかしたら、獣医師より実際に苦労されているうさぎさんオーナーの方の方がご存知の方法なのかもしれません。
その方法ですが、単純にウサギさんの好物のドライフルーツ(パパイヤやマンゴー、パインなど)に包んで錠剤入りオヤツを作ってしまう方法です。生のバナナを食べてくれるウサギさんならバナナに練り込む(粉薬も可)方法もあります。あまりにも簡単なので、今までの苦労はなんだったのかと拍子抜けしてしまうかもしれません。
幸い、ウサギさんは体が小さいため、錠剤のサイズもかなり小さくなります。錠剤だと、分割するのが大変なほど小さく作ることになりますので、意外と何か好物にしまいこんでしまえば気づかれずに薬ごと食べてしまいます。
残念にも、ドライフルーツが嫌いなウサギさんや、錠剤に気づいて吐き出してしまうウサギさんの場合は、液体やシロップのお薬を投薬することになります。当院では、子ウサギさんの初診時にはドライフルーツやバナナを使った投薬法をアドバイスしております。
シリンジ(注射器)を利用した投薬法
注射器で粉薬を飲ませる場合は、まずシリンジ(注射器)に液体を吸い取ります。お水でも構いませんが、青汁やリンゴジュースの方がよろこぶと思います。甘いシロップのお薬を使うこともできます。
お薬の袋は紙でできていますが、耐水性があるのでここに先ほどの液体を注ぎ入れ粉薬を良く撹拌します。混ざった粉薬をできるだけ残さないように液体ごとシリンジで吸えば粉薬入りの液薬になります。
シリンジを使用した投薬のコツですが、まずウサギさんをバスタオルで体の下から首だけ出るように包みます。特に首の部分が引っ込まれないようにするのがポイントです。首の部分が緩いと簡単にタオルの中にもぐられてしまいます。
また、もう一つのコツは、怖がらずにシリンジをしっかり口の奥に挿入することです。切歯(前歯)がありますので、その横からやや頬の方に向かってシリンジを挿入します。良く使われているサイズの画像のシリンジでは2~3くらいのメモリまで挿入したとしてもせいぜい奥歯の位置に届くくらいなのですが、先の部分だけだとたいがいお薬を吐き出されてしまいますのでしっかり挿入するのが失敗しないコツです。
慌てて1度にすべて飲ませようとせず、3回程度に分けてお薬を奥の方に置いてくるようなイメージで投薬するとうまくいくと思います。
水で溶くと苦くて嫌がる場合、100%のりんごジュースや青汁を利用するとうまくいく場合があります。注意していただきたいのは柑橘系の果物に含まれるシトラールという成分はウサギの血管に障害を起こすという情報もありますのでみかんジュースなどは使用しないほうが良さそうです。
強制給餌用 流動食専用シリンジ
シリンジのついでですが、ウサギさんに強制給餌する際のシリンジは、シリンジの先が太くなっている専用のカテーテルシリンジがあります。
ウサギさんが食事を食べない状態が続きそうな場合はご家庭での強制給餌を行っていただくケースがありますが、その際には先の太いシリンジを処方させていただいております。
船橋市のあおぞら動物病院のサイトではソアホックや毛球症、膿瘍などうさぎの良くある病気を紹介しています。お時間のある際にご覧になっていただけたら幸いです。