突然ですがキリンの血圧ってご存知でしょうか?あの長い首の先にある脳に血液を送るために高い血圧が必要で、最高血圧が260mmHg、最低血圧が160mmHgあるのだそうです。
日本人の4人に1人は高血圧なのだそうですが、ヒトでは140/90以上を高血圧であると定義しています。
犬猫の血圧はどうやって計るの?
ワンちゃん・猫ちゃんの血圧も動物専用の血圧計で計ることができます。人間と少し違う点としては、前腕だけでなく後ろ足やシッポでも測定できることです。1回の測定ではバラツキが大きすぎるため数回(当院では5回以上)測定して、平均値を利用しています。
犬猫の高血圧って怖い?
ワンちゃん・猫ちゃんの場合、最高血圧が150mmHg、最低血圧が95mmHg以上で高血圧と診断されます。最高血圧が160mmHg以上は治療が必要です。180mmHg以上の場合はかなり合併症のリスクが高い重度の高血圧と設定されています。
ヒトでの高血圧の合併症としては脳血管、心臓、腎臓、目などに障害を起こすことが知られています。犬猫でも同様の合併症を起こすのですが、高齢の猫ちゃんが網膜剥離のため失明してしまったり、高血圧による頭痛で夜鳴きが激しいといった相談を受けるケースが増えております。
犬猫の高血圧の原因は?
犬では心臓病や腎臓病、クッシング症候群などが高血圧の原因となっています。猫の場合は甲状腺機能亢進症や腎臓病が老化とともに高率で起こってくるため、当院でも血圧を測定したり降圧剤の内服を続けている患者様がたくさんいらっしゃいます。基礎疾患を改善させることで血圧を安定させることができる場合もあるので、高血圧の原因を探すことは非常に重要です。
高血圧の治療はどうするのですか?
人間と同様にお薬だけに頼るのではなく、生活習慣の改善でも血圧を下げる効果が期待されます。
まずは体重のコントロールです。特に、ワンちゃんの場合は肥満犬の高血圧が多いので規定体重になるまでダイエットを頑張りましょう。猫ちゃんの高血圧の場合は基礎疾患の関係からすでに痩せている場合が多いので注意です。
次に、食事は塩分を控えましょう。腎臓病や心臓病用、シニアペット用で塩分が少ないものを選びましょう。
適度な運動も効果的です。ワンちゃんならできるだけ散歩の時間を作ってあげてください。もちろん、心臓病や重度の高血圧の場合は無理しないでください。
お薬は、高血圧の方は皆さんお世話になっていると思いますが『アムロジピン』という降圧剤です。このお薬で大体40㎜Hgくらい血圧を下げることができます。人間と同じ薬を使いますが、飼い主様のお薬はワンちゃん猫ちゃんに与えないでくださいね。時々、ご家族が処方されている血圧の薬を誤嚥してしまったといった問い合わせの電話が入ることの多いお薬でもあります。
この他に、甲状腺機能亢進症の場合は甲状腺のお薬を、心臓病の場合では血管拡張薬を服用しています。
血圧測定行っています
このコラムを読むまでは動物病院でペットの血圧が計れることをご存じなかった方も多いかもしれませんが、あおぞら動物病院では腎臓病や心臓病の患者様を中心に血圧測定の機会が増えてきています。
数回の測定と静かなお部屋での検査になるため、15~30分ほど預からせていただく必要がありますが、サイレントキラー/静かな殺し屋と呼ばれる高血圧は怖い病気です。ご希望がありましたら是非お声をかけてください。