麻酔中の患者さんの動脈血酸素飽和度※1を測定するための測定方法にSpO2センサーを利用して測定する方法が一般的です。指を挟んで測定するパルスオキシメーターという機器を使用します。
人間では指先を挟んで測定することが多いのですが、動物病院ではクリップ型センサーを使用して、動物の舌や唇、指の間で測定します。
この舌や指の間を挟むセンサー部品なのですがネルコア(Nellcor)社という米国企業の製品を使っている麻酔モニターが多く、当院の麻酔モニター(フクダAM130)のSpO2センサーもこのメーカーの製品を採用しています。
また壊れた~(涙)
このセンサー、非常に壊れやすく何度も使用しているうちに自然に劣化したり、誤ってスタッフが踏んでしまったりといった人為的な理由で頻繁に断線事故が発生します。以前の勤務先でも気が付いたらセンサーが壊れていて、院長が泣いていました。
医療機器の宿命ですが、このセンサーが断線しても、修理対応ができません。部品交換です。
最近の電化製品もそうですが、修理する方がコストがかかるのだと思いますが、ちょっとセンサーの銅線が切れただけなので、何度か半田ごて片手に修理を試みましたが、ダメでした。
消耗品とあきらめて、部品を注文するのですが実はこの部品、6~7万円もする高価な部品なのです。ご丁寧に部品交換が行いやすいように途中から連結を外して必要な部分のみ交換できるようになっていますので、交換は簡単に行えます。
ただ、壊れやすいのに6万円以上というのはどうにかならないものかと…。
ネルコア互換性SpO2センサーをジョイベイで購入
海外からの輸入代行サービスJOY BAY(ジョイベイ)ってご存知でしょうか?
アメリカの世界最大のオークションであるeBay(イーベイ)を英語が苦手な日本人向けに日本語で購入できるサイトで、日本にない変わった製品を日本の代行業者が落札・輸送をしてくれるサービスです。私も以前からよく利用しています。
英語が可能な方は海外の医療機器ディーラーから直接購入することもできると思うのですが、私のようにgoogle翻訳のお世話になるような人間には非常にありがたいシステムだと思います。
早速「NELLCOR D-YS」で探してみると6件ほどヒットしました。どうもアメリカで購入すると3万円程度で購入できるようです。輸送費を考えるても日本で購入する半額くらいで手に入りそうです。
よくよく探してみると、なんと互換性のあるものが見つかりました。送料と万が一の保険を付けて12,000円でお釣りが来ます。早速購入してみました。
通常、1か月くらいかかることが多いのですが、今回は2週間で手元に届きました。
Nellcor製の製品との相違点
実際に動作確認前に、Nellcor製のD-YSとの違いを比較してみました。
センサー部は似ていますが、基板が少し違う形をしています。コネクター部も同じ9ピンで配置も一緒のようですが、プラスチック部分の配色は違いました。
ネルコア製 SpO2センサー | 互換性 SpO2センサー | コネクタ部の形状の違い |
実際に接続してみましたが、全く問題なく接続できました。互換性ありの製品なので当たり前といえば当たり前なのですが、確認するまではドキドキしました。
センサー自体も実際に使用してみて、全く問題ありませんでした。
どこのメーカーの製品なのか?
Pacific Medical(パシフィックメディカル)という医療機器の修理やOEM部品を供給しているカナダの会社のようです。今回はそのOEM部品がどういう経緯か不明ですが、eBAYに出品されていたようです。動物専用医療機器ではありません。
2018年2月現在でもまだ数点購入可能なようなので、壊れた時の緊急用ストックとして1つ注文してみてはいかがでしょうか。
当院でもストック用として購入しましたが、実際にはNellcor製をメインに使用していますので、自己責任でお願いいたします。
※2023年9月 アマゾンUSAで$144.36 送料37㌦で購入できました。
※1動脈血酸素飽和度・・・血液中にどの程度の酸素が含まれているかを示しています。血液中のどの程度のヘモグロビンが酸素と結合しているかどうかを%で表し、通常問題が無ければ100%を上限に96%以上をキープできるように努めます。