動物病院で使う痛くない「傷に張り付かないガーゼ」と動物用の包帯

動物病院のガーゼ

 怪我をして傷に当てたガーゼを剥がす際に、張り付いて痛い思いをしたことはありませんか?

 動物の場合も手術や怪我をした際にガーゼや包帯で傷口を保護しますが、通常のガーゼを使うと傷から染み出てくる血液や分泌物が接着剤のようにくっついて剥がれなくなります。これを無理やり剥がしたらせっかく治りかけている傷にもダメージを与えますし、とっても痛いですね。

 今回紹介するガーゼは特殊な3層構造になっているガーゼで、傷に直接接する部分は無数の小さな穴が開いていて余分な分泌液を吸収しながら、傷に張り付きにくい構造になっています。このおかげで殆ど傷に張り付くことがありませんが、1枚当たり通常のコットンガーゼの数十倍と結構高価です。

傷につかないガーゼ

 こちらも傷につかないガーゼの1種ですが、1枚当たり500円前後と更に高価な製品です。昔は傷の治療は強力な消毒液を使ったり、傷を乾かしたりして治すのが当たり前と思われていましたが、最近では極力消毒せず、乾燥させないで潤った状態のを維持した方が治りが早いことがわかっています。湿潤療法(うるおい療法)といわれる治療法です。こちらは一度貼り付けたら数日間は剥がさないガーゼで、傷の乾燥を防ぎ治癒を早める効果があります。

  動物の治療でも傷の治癒不全は大きな問題になることがあります。ケンカや交通事故などで大きく欠損した皮膚がある場合、動物だから治りが早いということはありません。場合によっては一般の治療法だと半年経っても皮膚の傷が治らないケースも時折見られます。

 人間同様の治療法が試みられますが、何が正解かいつも試行錯誤を繰り返しています。最終兵器は皮膚移植ですが、これは難易度の高い治療法になります。猫に限っては最新の湿潤療法(うるおい療法)で効果が見られず、極力傷をいじらない治療法(放置プレイと勝手に呼んでいますが)が有効なこともあったりと、なかなか正解が見つからない悩ましいテーマです。

自分がやられたら嫌なことは、極力患者さんにもしたくないですね。私自身が痛いのにすごく弱くって・・・。

 

動物病院で使う包帯

粘着包帯 べトラップ 動物病院

 包帯にもいろいりあります。最近ではむかし薬箱に必ず入っていたような綿包帯を使うことはほとんどなくなりました。動物用の包帯に特に求められる特徴として、汚れに強く、ズレにくいことが必要とされます。

 通常の綿包帯ではオシッコをされると一発で汚れてしまいますし、舐めてしまえば唾液でビチョビチョになってしまいます。また、ちょっとした隙に噛んで外してしまうことも考えられます。

 今回ご紹介する自着性弾力包帯のべトラップやベトフレックスは材質が天然ゴム、ポリウレタン不織布、ポリエステルなどで作られているので、通常の包帯のように水分や汚れが奥に侵入しにくくなっています。また、包帯同士がくっつく形状になっているため、包帯同士を軽く圧迫すると勝手に固定されます。固定具やテープでの固定が不要です。

 まさに動物病院用という面白い特徴がある商品は、右上のNO CHEW!とプリントされた包帯です。こちらも自着性弾力包帯ですが、ワンちゃんが舐めると苦い成分が含まれています。実は、この商品が子供の指しゃぶりの対策に使えるかどうかと相談を受けたこともあります。ちょっと発想に驚きましたが、効果はどうだったのでしょう。

 ちなみに、楽天やアマゾンでも購入することが可能です。使い方のポイントとしては、絶対に伸ばしながら巻かないことです。テンションをかけながら包帯を巻いてしまうと、だんだんと包帯自体が締まってしまい危険です。優しく巻いて、巻いた後に軽く圧迫して包帯を固定すると上手に巻くことが出来ます。

同様の商品は人間ではコーバンという商品名で発売されています。

コーバン 動物病院の包帯