当院では2011年からRF社のデジトゲン NAOMIを使用しています。以前のレントゲン写真は撮影後に現像液で現像するフィルム式が主流でした。現在はパソコン画面で撮影したレントゲンがそのまま表示されるデジタル方式に変わってきました。
NAOMIって何ですか?デジトゲンって?
デジタル式には、フジフィルムやコニカミノルタのCRといわれるレントゲンフィルムの代わりにイメージングプレートと呼ばれる板を読み取り機に挿入する方式と、東芝のDRといわれるようなデジカメのように撮影したものがそのままパソコンに読み込まれる装置があります。
デジトゲン(RF社が作った造語)のNAOMIはCRとDRの中間くらいの装置かと思います。デジタルとレントゲンを合わせた造語でしょうね。製品のネーミングのNAOMI(ナオミ)ですが、RF社のカプセル内視鏡で「NORIKA3」とか「Sayaka」とかありますから完全に女性の名前ですよね。
他の先生に紹介するとき、なぜか小声になってしまいます(笑)。
CRに比べDR方式のほうが格段に便利なのですが、価格面で倍以上の差があるため、DR式を動物病院で導入しているケースはまだまだ少ないです。
NAOMIの使い勝手はDRと同じなのですが、画質はCRに及ばないというやや中途半端な装置です。
画質を妥協して、利便性(撮影から5秒程度でモニターで確認できる)や価格をとる場合の選択肢として、わたしはこちらを選びましたが、動物病院での導入は少数派です。発売から10年近くたっているのではないかと思いますが、動物病院業界ではまだ知らない先生もいるようでちょっと寂しいです。
次に導入するとしたら、DRを入れたいと思いますが、CRの普及が進んでどんどん安くなってきていますので悩ましいです。
追記:2018年1月22日
2011年当時に、導入動物病院としてチラシで紹介されていた秋田の動物病院は現在CTスキャンを入れているような大きな病院になっていました。まだNAOMI使ってるのかなぁと思い医療機器のページを覗いてみたのですが、しっかりNAOMOIを使用しているようでした。
当時のチラシのタイトルは『もうCRには戻れません!』でした。ちょっとうれしいです(笑)。
NAOMIの実際の評価はどう?
最近開業する動物病院の多くが、はじめからデジタル方式(生フィルム以外)のものを導入するケースが多くなっているようです。周りの先生はほとんどCRを導入しています。
デジタルでない生のフィルムの最大の欠点は撮影後のフィルムの保管場所にありますが、法律上2年間の保管期間が決められていますので、撮影するたびにどんどん保管場所が必要になってしまいます。
また、自動現像器の設置スペースや現像液の廃棄コスト、フィルムや消耗品の費用を考えると導入時のコストを考えても、デジタル式のほうがあらゆる面で優れている設備かと思っております。あくまで私の見解ですが、このような評価になりました。
画質 | 利便性(操作感・表示時間など) | コストパフォーマンス | |
生フィルム | ◎? | × | 〇 |
CR | 〇 | △ | △→◎ |
NAOMI | △ | ◎ | ◎ |
DR | ◎? | ◎ | △ |
NAOMIの耐久性や修理は?
あくまで当院で使用した6年間のメンテナンス履歴になりますが、購入から2年目に本体を認識しない故障で、1か月間引き取り修理になりました。その間は代替機を借りていたので特に困ったことはなかったのですが、修理に1か月もかかり不安になりました。
幸い、購入時の特典としてレビュー記事を書けば5年間の保守費用が無料になるキャンペーンに参加したため、無料修理になりましたが、残念ながら現在はこちらのキャンペーンがないため、9000円/月の保守費用が必要になるようです。
以降、自分でできるメンテナンスなのですが、頻繁に発生する不具合があります。
当院の場合、NAOMI本体を年に何度かレントゲン室と手術室を移動するのですが、その都度センサーのキャリブレーション作業を行わないと、画像にマス目が出てしまいます。
当初、骨のレントゲン撮影をした際に、骨上に黒いラインが出ていたため、亀裂骨折と誤診しかけたことがありました。
慣れてしまえば、移動後にCCDセンサーが動いたことにより発生する異常と分かったため、その都度自分でキャリブレーションを行っています。
アールエフによると仕様とのことですが、動かさなくても数か月おきにキャリブレーションを行った方が良いと思います。20分ほどかかりますが、それほど難しい操作ではありませんので自分で行っています。
NAOMIの導入価格は?
あおぞら動物病院で自動現像機からNAOMIに移行したのは2011年でした。当時は間違いなく主流がフジのCR(FCR)でしたが、一番の問題は導入コストでした。周りの意見としてはFCRの方が良いという意見ばかりでしたが、デジトゲンの操作性の簡便さも非常に魅力的でした。
コストでは、ホストコンピューターが自分で用意できる(通常の市販PCでもよい)ことと、診察室に用意した画像表示用のPCも自前で用意可能だったのでとてもコストダウンが可能でした。
2011年の見積もりですが、当時で設置費用等すべて込み(PCは自分で用意)で税込み価格170万円程度でした。設置費用も含まれています。
昨年2017年に新センサーになったとのお知らせがありました。,CsIシンチレーターを搭載したセンサーを導入したことにより,従来製品に比べてX線量を半分以下に抑えられたのこと。コントラスト比が上がることで,よりシャープな画質で画質1.5倍とのことです(アールエフのDMより)。画質が1.5倍といわれると旧製品のユーザーとしてはかなり期待してしまいます。こちらはユーザー価格が120万円で導入できるそうです。定価は250万円とのこと。
実際のNAOMIの設置方法
動物の場合撮影中に排尿をして装置にかかってしまう場合があります。RF社は画像のようなウレタンマットを提供しているので、ここにNAOMIをはめ込んで、上にビニールシートをかける設置法を説明されました。
あまりに不格好なので、当院では手術台を兼用させたNAOMI専用の撮影台を東京メニックスに作成してもらいました。ベースはOPX-1100-BFという製品です。現行型はOX-1100Tという製品になっているようです。
NAOMIは通常のレントゲンカセッテよりかなり厚みがあるため天板を特注していただきました。通常のレントゲンカセッテ用の他にCRのイメージングプレートも使用可能です。
手術中にもレントゲンが撮影できるので、骨折の手術や結石の摘出手術では非常に有効です。
天板の下にレントゲンカセッテを入れられるようになっています。左右にスライドさせて位置を変えることが可能です。
台の上下に電動式とガスバネ式がありますが、メニックス製の電動式のフットペダルが安全性のために、かなり力を入れて踏み込まないと反応してくれません。当初、使いやすい電動式を考えていましたが、実際にはガスバネ式を採用しました。