ずっと昔に同級生の親御さんに「獣医学科に入りました」ってお話したら、「なんで医学部入ったのに動物の医者なんて選んだの?」って、まじめに聞かれました。もちろん医学部には獣医学科なんてありませんし、人間のお医者さんが動物を診療することも違法行為になります。
同様に歯科医師も医学部出身ではなくて大学の歯学科を出て国家試験に合格した方々です。
今、歯科医業界は深刻な歯科医師・歯科医院余りの状態になっているそうです。ネットでもいろいろ見つかりますが、2010年のデータでは歯科医院数はコンビニエンスストアの1.6倍(歯科医院68167施設 コンビニ42865店)あるそうです。確かに自宅最寄の東船橋駅の周りにも10件近くあるのではないでしょうか。当然、1施設当たりの収入はどんどん下降傾向だそうです。
動物病院業界もかつてのペットブームは2008年頃をピークとし、ワンちゃんの飼育率は20%→15%、頭数では1310万頭→1000万頭以下に減少しているそうです。
歯科医院と動物病院での過剰競争の背景は結構似ていますが、例えば原因として
・日本の人口の減少・・・人口減ると当然ですよね。
・歯科医、獣医師の過剰・・・毎年医師が生まれるのですが、定年が無い。
・勤務医の労働条件が悪い・・・結果みなさん開業されます。
・開業施設の増加・・・過剰だとわかっていても加速度的に増加しています。
実際には、似ているところもあれば違うこともあるのですが、将来の動物病院業界も明るいとは決して言えない時代になってきました。ペットブームの後押しもありほとんど倒産・閉院の無い業界でしたが、いい加減な経営で行っていると淘汰される時代になってきたようです。
素晴らしい職業だと思いますが、将来子供に継がせたいかといわれたら(学力的な問題はこの際無視で)、1年くらい悩んでしまいそうです(苦笑)。ちなみに歯科の先生のアンケートでは子供に継がせたいという歯科医は7%とのことです(驚)。
歯科医や獣医師が儲かる職業というイメージは内側から見れば全く無いのですが、世間的にはそう見えるようでちょっと複雑です。
追伸:2017年6月15日更新
加計学園の問題で、「獣医師過剰」というキーワードで当コラムにたどり着く方が増えました。獣医師が余っているかどうか調べたい方がいらっしゃるんですね。小動物臨床の現場では獣医師は過剰なのは間違いありません。ここ5年ほどで船橋市の動物病院が5件くらいは新規で増えました。知っている範囲で閉院した病院はここ10年ほどで2件だけです。
その5件ほども、どうもあまり順調とはいえなそうな感じで、これからは今まで以上に厳しい状況になると思われます。不安をあおる動物病院業界のコンサルタントによると、10年後には3割の動物病院が潰れるとかどうとか。
加計学園の岡山理科大に獣医学科ができたら、ますます小動物獣医が過剰になりそうです。その卒業生たちが就職する先がはたしてどうなっているのか(他人事ではなく)心配です。