動物病院で使用される道具の中で一番種類が多いものは剪刀(せんとう)だと思います。剪刀とはいわゆるハサミのことですが、文房具として使用するハサミから特殊な手術に使用する剪刀まで合わせると当院でも20種類以上のハサミを使っています。
初めの画像は上段が主にガーゼや包帯を切るためのハサミで、患者さんの皮膚を傷つけないように片刃の先が丸い形状になっています。下段は錠剤のお薬を分割するためのハサミです。
上の画像は主に手術で使うハサミですが、左上から順に
毛刈剪刀・・・動物の毛を刈るための剪刀ですが、当院ではもっぱらバリカンを使用しています。
抜糸剪刀・・・皮膚の縫合糸を抜糸するための剪刀です。先がフック型で糸を引っ掛けやすくなっています。
ワイヤー剪刀・・・手術用のステンレスの糸を切るための剪刀です。
アイリス剪刀・・・主に眼科手術に使用する刃先が小さく鋭利な剪刀です。
外科剪刀・・・いろいろな目的で使用できますが、組織だけでなく、ガーゼや糸、チューブなどを切断する際にも使用します。
メッツェンバウム剪刀・・・外科剪刀よりも先が細くなっている剪刀です。組織を切る以外にも剥がす操作(剥離)にも使用できる手術には無くてはならない剪刀です。刃先がデリケートで高価なハサミなので、これで糸を切ったりするとたいてい師匠に怒られてしまいます。
マイクロ剪刀・・・主に眼科や小動物(ハムスターや小鳥など)の手術に使用する剪刀です。かなり小さい刃の高価なハサミです。
また、同じ種類の剪刀でも刃の材質や加工によって、画像のように柄の部分が金色や黒のものがあります。柄の部分が金色のものはTC(タングステンカーバイド)という高硬度物質を刃の部分に使用することで耐久性を高めた器具になります。つまり切れ味が長く持続します。柄の部分が黒いものはSC(スーパーカット)剪刀と呼ばれるもので片側の刃の部分が細かいノコギリの刃のような形状をしていて、滑りやすい脂肪などの組織も切断しやすくなっています。
動物病院では100円ショップで購入できるような文具用のハサミから眼科専門の1本十数万円するような超高級剪刀まで様々なハサミが使われています。ハサミにご興味がありましたらお気軽にご相談ください(笑)。