犬猫用尿化学分析装置 『thinka RT-4010』に買い替えて

犬猫用尿検査装置 thinka RT-4010

尿検査紙を使用してのヒューマンエラーによる誤差を少なくしたいと思い、数年前にアークレイ社の尿生化学分析装置『ポケットケムUA PU-4010』を購入しました。

2017年9月に同社の犬猫部門(thinka)から動物病院に向けた犬猫専用の尿分析装置『thinka RT-4010』が発売されたため機器を更新しました。

『ポケットケムUA PU-4010』は人間用の医療機器でしたが、当時は犬猫専用の製品がありませんでした。装置自体は試験紙の反応を読み取るだけなので、尿試験紙(オーションスティックやウロペーパーなど)の犬猫用製品が無かったため当時はこちらで測定していました。

また、今までは外部の検査機関に依頼しなければわからなかったUPC(蛋白質/クレアチニン比)が測定できることも当時購入の大きな決め手でした。

アークレイの尿分析装置ってどんな医療機器?

動物用尿検査装置 医療機器尿化学分析装置 ポケットケムUA PU-4010 尿検査スティック 
尿検査は動物でもとても大切な検査で、痛い採血をしなくても尿の性状から糖尿病、腎臓病などの早期発見や膀胱炎や尿石症などの泌尿器疾患の診断が可能な優等生の検査です。

この医療機器だけで全ての尿検査を行うことはできませんが、尿比重や尿沈査以外の重要な項目を測定することができます。

採取した尿を尿試験紙に垂らして試験紙の色調の変化を観察するのですが、ちょうど理科の実験で使ったリトマス試験紙のような感覚です。

肉眼で色の変化から測定結果を読み取ることもできるのですが、測定者による結果のばらつきや測定の手間を考えると、単純な機械ですが診療にも有用な医療機器だと感じます。

動物用のオーションスティックではGLU(ブドウ糖)、PRO(蛋白質)、BIL(ビルリビン)、BLD(潜血)、PH(pH)、KET(ケトン体)、NIT(亜硝酸塩)、LEU(白血球)(※イヌのみ)、CRE(クレアチニン)、ALB(アルブミン)、UPC(蛋白質/クレアチニン)が約60秒で測定できます。

検査結果の精度はどうなの?

thinkaの特設サイトから『thinka RT-4010データ集』を取り寄せることができます。担当の方もメールでいろいろと問い合わせさせていただいたのですが、メールの返事も丁寧でした(結構メールの返事が返ってこない企業が多い)。この場を借りてthinka商品受付担当者様ありがとうございました。

残念ながらこの場でデーター集の中身を掲載することはできないのですが、精度の高い検査方法と本器の検査結果との一致率が確認できます。

検査項目により完全一致率が30%台と本当に使えるの?と疑問に思う結果もありますが、前後±1の範囲では91~100%で相関性があるようなので理解したうえで使う分には非常に優秀な働きをするのではないかと思います。

ポケットケムUA PU-4010と犬猫専用thinka RT-4010の違い

人間用の装置は尿検査紙が8種類の中から選択できるのですが、犬猫用は全部盛りのオーションスティック10PAに相当する犬猫用の『ユーリンテストストリップ 10UB』という試験紙を使用します。試験紙の価格も若干安くなりました。

本体サイズは人間用の装置と全く変わらず(124(W)×81(D)×36(H)mm)とかなり小型です。色はシルバーからホワイトに変更されました。

単三電池でも動作しますので往診先で測定することも可能です。また、プリンター部分だけ取り外すこともできるので、プリンター用紙での結果が不必要な場合は取り外して用紙のコストダウンも可能です。

今話題のUPCも測定できて、本体も110,000円前後ですので、開業後頻繁に尿検査を行うようでしたらおすすめの医療機器です。